5.1



あの日直の日から私の周りは大きく変化していった。

何故かとことん早起きが苦手な私はやはりいつものように遅刻ぎりぎりの時間に起きて、慌てて家を飛び出して走って学校に向かう。
比較的足の速い私はそれで間に合うことをわかっているので途中から普通に歩いて何食わぬ顔で門をくぐっていく。
だから今のところ無遅刻無欠席で、早起きが苦手だなんて誰も知らな…あぁいや、恭弥が知ってるからそう断言するには語弊があるかもしれないけれど、少なくとも同じクラスの人では誰も知らなかった。
こうして今日も人知れず走っていくと少し前になんだか見たことのあるツンツン髪の男の子も必死に走っていた。
少しだけ走る速さを速めて彼の隣まで行くと、私の登場にびっくりしたのか、あるいは私の足の速さにびっくりしたのか「姫!?」と目をまんまるくさせて私を見つめていた。



「…おはよう」

「おはよう!もしかして姫も寝坊したの?って、そんなわけな」

「い、こともない」

「寝坊したの―!?」

「いつものことよ」



そう、だからそんなに驚くことでもない。

…と、思うのだが如何せんツナと仲良くなり始めたばかりだから私をしっかりした人間と思っていたあまりそのギャップに対応できていないようだ。
人なんてそんな完璧じゃないんだから当たり前だと思うんだけど…まぁいいや。


- 12 -

*前次#


ページ:

back
ALICE+