9.3
「えっとね…ちゃんと説明するなら「あの雲雀さんと対等に話す姫ちゃんがどんな人なんだろう?」っていう興味があったの。
だって、あの雲雀さんだよ?誰も隣に並べたくなさそうな人が、唯一姫ちゃんだけ許してる」
それが酷く羨ましくて、どんな子なのか興味が湧いたの。
そう言った由里に嫌な予感が全身を駆け抜けて、ぞわり、と背中が寒くなる。
その言葉の中に感じた、羨望、妬み…それらすべて、私は知っている。その感情を持たせる理由を、知っている。
―――由里は、恭弥のことが好きなんだ。
言葉にされなくてもわかる。…だって、私だって…恭弥が好きだから。同じ人が好きだから、わかる。
「(こわい)」
漠然とそう思った。何が恐いのか自分でもよくわかっていないし、何故そう思ったのかもわからない。
ただ漠然と恐怖だけが先行して頭が追いついてくれなかった。
恭弥が離れていくのではないかと思った?由里にとられる、って?
…いや、そうじゃない。もっと、違う理由。だって、恭弥は私のものなんかじゃないし、大体恭弥はものじゃないから私のとか言えないし。
じゃあ、この恐怖は、何?
そんな私の気持ちなんて知らない由里はにっこりと笑って「だからこうやって話せて嬉しい」と言っていた。
「(本当に?本当に、そう思っているの?)」
「思ってた以上に由里ちゃんって口数多いしね!」
いたずらっぽく笑った由里にぎこちない笑みしか返すことができない。
でも私の笑顔なんて知らない由里は「そうやって笑ってくれるし!」と無邪気に笑ったのだった。
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