10.2



―――――……数年前。



「天気、悪くなってきたね」



恭弥の言葉で私は読んでいた本から顔をあげて、確かに少し雲で暗くなってきた空を見上げた。
気圧がどうなっているのかはさすがに自分では判断できなかったが少し風も出てきていたからもしかしたら酷い雨が降るかもしれない。
私が何も言わずに本にしおりを挟んでランドセルの中に仕舞い始めると恭弥も帰ることを悟ったのかふわぁ、と一つ眠そうなあくびをしてからそのベンチから立ち上がった。

…そういえばよく考えるとあの頃から恭弥はかばんとか持ってなかったな。
普通ランドセルとかからってるはずなんだけど、恭弥は決まって手ぶらだった。…なんで?

……。…まぁ、そのことは今はおいといて、変える準備ができるとお互い何も言葉を交わすことなくかる方向へと足を向かう。

あのときから言わなくても恭弥の行動がわかったし、恭弥も私の行動が読めたんだっけ。
公園から出ようと思っていると「雲雀恭弥!」と野太い声が恭弥だけを引き止める。
誰、と二人で眉を顰めると公園の入り口からぞろぞろと中学生くらいの男の子たちが入ってきた。
友達、ではなさそう…一体どういう関係?なんて当時は不思議に思ったけど、今思えば彼らは前に小学生である恭弥に咬み殺された人達なのだろう。恭弥は何も言わなかったけど。

いかにも柄の悪そうな彼らに私が珍しく戸惑っていると恭弥が私を庇うように彼らと私の間に立ってくれた。
私から恭弥の顔は見えなかったけど、雰囲気で恭弥が不機嫌になっていたのは明らかだった。


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