10.3
「…何、君たち」
「何?だと?決まってんだろ!今日こそお前をぶちのめしてやりに来たんだよ!!」
「ふぅん、弱い草食動物ほど吼えるっていうけど、本当だったんだね」
「んだと!?」
恭弥、といさめるように私は彼の名前を呼んだ。
どう見ても彼らの体格と恭弥の体格では不利だ。…そんな彼らを怒らせるのは得策じゃないことくらい私にだってわかる。
挑発しちゃだめ、という意味をこめて恭弥の名前を呼んだのだが、恭弥には違う意味に聞こえたらしく「大丈夫だよ」と先ほどとは違う優しい声。
いやいや、そうじゃないよ。確かに恭弥のことは心配しているけど、そうじゃなくて、ああもう。
どうしてこういうとき私は自分の語彙を使って自分の気持ちを伝えることができないのだろう。知っている言葉の数は多いはずなのに。
そのふがいなさにきゅっと唇を結んでいると恭弥は小さな声で私に聞こえるように「離れてから、目を瞑って、耳をふさいで。僕がいいって言うまでだよ」と言われたから嫌だと首を横に振る。
私の反応を予想できなかったのか恭弥はびっくりしたように私を振り返る。
「姫?言うこと聞いて」
「や」
「危ないから、」
「やっちまえ!!!」
「…っ、ちっ」
襲い掛かってきた中学生たちに小さく舌打ちをすると恭弥はどこから取り出したのか小さなトンファーを取り出して殴りかかってきた中学生の拳を避ける。
そして私の腕を強く引っ張って「来て!」と叫んで公園の奥へ私を連れて逃げた。
待て!!と叫んで追ってくる中学生に少し恐怖しながらぎゅうっとつながれた手を握り締める。
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