10.4
「恭弥」
「ここに隠れてて」
「恭弥!」
「…姫?」
初めて、だった。
私が恭弥に対して大きな声を出したのは。
切羽詰ったような私の声に恭弥はようやく私と目を合わせてくれて、未だ繋がれた手をぎゅうっと握り締めた。
「私、見てるから」
「え…?」
「怪我、しないように、ちゃんと見てるから」
「……しないよ。僕は強いからね」
フッと不敵な笑みを浮かべた恭弥だったけど、私の不安は広がっていくばかり。
恭弥が彼らに何をしたのか、当時はわからなかったし、恭弥の強さも知らなかったからただただ不安で。
大好きな恭弥が怪我してしまうのではないか、と恐かったのだ。
安心させるように私の頭をぽんぽん、と二度軽く撫でるとすぐに恭弥は茂みから出て行った。
影から恭弥が喧嘩しているのを見ながらいつ恭弥が怪我するか気が気じゃなかった。
私の不安をよそに恭弥はどんどん自分の2倍はある体格の男たちを倒していって、あと二人となったとき。
「ちくしょう!殺してやる!!」
「…!!恭弥、危ない!」
「姫!?出てきちゃっ…!」
ダメだ!!と言われるのと同時に私は茂みから飛び出し、ナイフを取り出した不良の前に恭弥を庇うように立っていた。
自身が傷つくことには、まったく恐怖を感じなかった。
ただ、恭弥に怪我してほしくなくて。
あのまま私が飛び出さなかったらきっと、ナイフは恭弥を傷つけていたから、だから、そんなことさせたくなくて、私の身体は考えるよりさきに動いていた。
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