12.1



その日の朝はなんだかとてもすっきり起きれて自分でも珍しいと感心していた。
自分でいうのもなんだが目覚ましがなる前に自分で起きれたためしが今までないからだ。
目覚ましをなる前に自分で止めてベッドから起き上がり、部屋着に着替えてから一階にいくと母親が「珍しいのね」とびっくりしていた。

それでも母親は先に起きて朝食の準備が終わっているのだからよく考えるとすごい。

今日は雪かしら、と初夏に呟く母親に「お母さん酷い」と反論すると母親は再び驚いたようにこちらを見ると「やっぱり雪ね」と笑ったのだった。
多分私が「お母さん」と呼んで、しかも会話をしたのが久しぶりだったからだろう。

なんだかむず痒いような気恥ずかしさが湧き上がってきて、私はそれをごまかすように用意されていたご飯とお味噌汁の前に座るとピンポーンとチャイムが鳴らされる。
ちなみに今日は休日。こんな朝早くから一体誰だろう、と不思議に思いながらも母は「はい」とインターホンに出る。
私からはインターホンの声が聞こえなかったからとりあえずお味噌汁を飲んでいると「姫」と母親から名前を呼ばれてそちらに顔を向けてみる。

…なんでそんなにお母さんニヤニヤしているの?



「恭弥くんよ」

「…恭弥?」

「早く出てあげなさい」



ほら、と急かされてとりあえず玄関に向かい、ドアをあけると珍しく私服姿の恭弥がそこに立っていた。
恭弥は私が出るとは思わなかったのか「起きてたの」とびっくりしたようにいわれる。
恭弥も私の寝坊癖を知っているから寝坊な私が休日なのにこの時間から起きているとは思っていなかったようだ。

(みんなして失礼なんじゃないか…って私の普段が悪いのか)

- 38 -

*前次#


ページ:

back
ALICE+