14.3



よかった…やっとついた…!

そう安心していると彼は自分の役割は果たしたとばかりに「後は自分でいけるでしょ」と言ってまた私に背を向けた。

折角ここまで案内してくれた恩人なのだからちゃんとお礼を言わないと…!



「あ、あの!」

「……」

「ありがとうございました!!」



歩き続けていた彼の足がぴたり、と止まって視線だけ自分に向かってくる。
がばり、と頭をさげると彼はそんな私をじっと見つめた後……ふ、と小さな笑みを浮かべてくれた。



「(あ…)」

「今度は迷子にならないようにね。遅刻したら咬み殺すよ」



そういい残して彼は再び歩き始めて、今度こそいなくなってしまった。
どきん、どきん、と心臓がうるさいくらいに高鳴って彼の後姿を最後まで見つめる。
咬み殺すってどういう意味だろう、とか考えることなく、ただ彼の微笑が私の頭を占めて離れてくれない。


綺麗な笑顔……実は優しいし、なんて人なんだろう……


これが恋だと気づくのにそんなに時間はいらなかった。
他校の人かもしれないけれど、関係ない。

制服は覚えているから調べて見つければすぐに学校に行ってみればいい、と思っていたがその必要はなかった。


だって、彼は並中生で……知らない人はいないというほどの有名人だったから。


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