15.1



ずっと、側にいるんだって思ってた。
そんな約束したことないし、そんなわけないはずなのにそれを信じて疑わなかった自分がいた。

―――まさか、それが崩れるなんて……





「…アメリカ?」

「そうなの」



お昼に起きてきた私に「話があるの」と言ってきた母に少し嫌な予感はしていたがその話の内容はアメリカへの転勤が決まったこと。

アメリカに行くことが決まったのは昨日で、突然だが一ヵ月後には行かないといけないらしい。
アメリカで働くことは母が以前から夢だといっていたことは幼い頃から知っていた。

その夢が叶うことは娘として嬉しく思うが……

どうするのか、と静かに問いかけられたとき、その現実を目の当たりにさせられたのだ。

そうだ。母が行くというのなら私もついていかないといけない可能性が高い。
父はすでに東京に単身赴任中であり、父についていくにしろ、母についていくにしろ、私はこの並盛を離れるしか選択肢がないのだ。

その事実に私は目の前が真っ暗になった気がした。


並盛を離れる……つまり、恭弥と離れる、ということ。


―――恭弥と、離れて暮らすなんて、できるのか?

答えは否。できない。私には、できない…そんなこと。

しかしそんなことを言ってしまったら父も母も困ることは目に見えている。
どうしよう、と眉を顰めると母は私の気持ちを悟ったように静かに問いかけた。


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