16.4



「君、何言ってるかわかってる?」

「わかってます」

「僕に喧嘩売りに来たわけ?」

「違います。ただ、理由が知りたくて…」




知ってるなら、聞きたいんです。

そう言葉を続けると雲雀さんは怒りで鋭くなった瞳をさらに鋭くさせて俺を睨んだ。
ここまであの雲雀さんの感情が伝わってくるのは初めてで、正直恐くて仕方がなかった。
けれど、雲雀さんが休んでいる理由を把握しているのは今の反応で超直感からわかってしまった。

それならもう、ここで引くことはできない。
姫を好きだという気持ちは本当だから。

ぐっと拳を握り締めると雲雀さんは少しだけ息をついて俺から視線をはずした。




「アメリカだよ」

「…えっ…」

「今、姫はアメリカに行ってる。色々な事情があってね」

「アメリカに…」




いつ、それは決まったのだろう。金曜日にはわかっていたことなのだろうか。
それはわからないが、とにかくアメリカという外国にいることがわかり、なんだか遠い話で呆然としてしまう。
ぼんやりと呟く俺に雲雀さんは風紀の仕事に取り掛かりながらも言葉を続けた。




「あと4日で帰ってくる予定だよ。これで満足?」

「…あ、えっと…」

「何、まだ何かあるの」




これ以上はいえないよ、とばかりに仕事をする手を止めながら俺を睨む雲雀さんに「いや、その!」と言葉が詰まってしまう。
言うのをためらってもごもごする俺に何、と強く追求する雲雀さん。

その迫力に負けながら思い切って聞いてみた。雲雀さんの、本当の気持ちを。


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