16.5



「雲雀さんは…姫のことが、好き、なんですか?」

「………」




てっきり「君に関係ないでしょ」とすぐに返されるものだと思っていたら案外にも雲雀さんは黙り込んでしまって。
それに戸惑い、聞いてはいけないことだったのか、と謝ろうとした瞬間、雲雀さんは口を重くも開いた。


その目には…どこまでも姫を大切に想い、優しさにあふれた光が灯っていた。




「好きだよ」

「…!」

「誰よりも、大切な子だ」




遠くに離れた姫のことを思っているのだろうか。
少し遠くなった視線を窓に向けた雲雀さんに全て負けたような気がした。
その深い愛情はどこまで姫を優しく包んでいて、言葉だけではないことを強く印象づけられる。

そうですか、と返すのにそのときの俺は精一杯で、飛び出すようにして応接室を後にしたのだった。



―――その会話を応接室の外で誰かが聞いていたことも知らずに……


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