18.1



その場にいたのは偶然で、きっと私にとっては必然だったんじゃないかって思う。

雲雀さんはあの時恐らく見回り中だったのだろう。
事故にあいそうになっていた子どもを庇って雲雀さんはバイクにひかれた。
雲雀さん!と思わず叫んで慌てて駆け寄ると雲雀さんは意識を失っていて、頭からたくさんの血を流していた。
恐らくはねられて道路に落ちたときに頭を強く打ってしまったに違いない。

このままじゃ危険すぎる、と私はうまく働かない頭を動かして救急車を呼び、何度も雲雀さん、と呼びかける。


雲雀さん、雲雀さん、お願い死なないで。


ぎゅっと手を握り締めて救急車に運ばれる雲雀さんの側につき、病院の緊急治療室に入っていく雲雀さんを見送る。
このまま帰ることなんて心配で到底できず、私はそのまま赤いランプをみつめて治療室の前で座り込んだ。


雲雀さん…お願い、生きてて……


そう願うしかできない自分が、悲しかった。
ぎゅうっと握り締めていた手を見つめているとどたどたと誰かが駆け寄ってくる音が聞こえてそっと顔をあげるとそこにはツナたち。




「由里…!雲雀さんは!?」

「…まだ、治療中」

「……っ」




辛そうに顔をゆがめるツナに私もなんと言葉をかけてよいのか言葉が見つからずそのまま黙り込む。
みんながみんな雲雀さんの無事を心の中で必死に願っていた。

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