19.3
…なんで、そんな反応なの?
恭弥の居場所がわからない…ってことはなさそう。それならすでに草壁君が率先して探し出しているに決まっている。
じゃあ、どうしてこんな顔をするの…?
その不思議な表情に私は嫌な予感がして眉を顰めると草壁君は「落ち着いて聞いてください」と前置きをした。
「委員長は先日事故に遭われて…今は病院です」
「病、院…?」
事故?どういうこと?そんなに酷い怪我をしてしまったってこと?
頭が真っ白になっていく一方で恭弥の状態とか後遺症とか色々な疑問点が浮かび上がって気持ちばかりが焦ってしまう。
何もそれ以上言うことのできなかった私に草壁君は私の気持ちを察してくれたように「病院へいかれますか?」と聞いてくれた。
はい、と辛うじて答えることができると草壁君はタクシーを再び呼んでくれて私は荷物を預けて並盛病院へと向かうことにした。
―――その瞬間昔の約束が、頭に浮かんだ。
『自分の身は、自分で守る。恭弥に守られなくてもいいように』
『約束だよ、姫。でも、無茶はしないでね』
そう言ったのは恭弥だったのに。無茶しないでね、って私に言ったくせに、どうして恭弥が無茶してるの。
私だってあなたに無茶なんてしてほしくなくて、強くなるって言ったのに……
ぎゅっと強く自分の拳を握り締めて、先ほど聞いた草壁君の話を思い出す。
恭弥の状態を詳しく聞いたところによると大きな外傷は頭の傷だけとのこと。
後は少しの打撲だけだから今はもう意識を取り戻しているといわれて少しだけ安心できた。
これで意識不明の重態、なんていわれたら私は…どういう反応をしていたか、わからない。
(もしかしたら事故を起こした相手を聞き出して殺しにいっていたかもしれない)
タクシーから降りてから聞いていた恭弥の病室までいけないとわかりつつも足は走っていた。
早く、早く恭弥に会いたい。大丈夫だと笑ってほしい。そんな一心で。
恭弥の病室の前までつくことができ、乱れた息を整えてノックしようと手をかざすと…中から小さな笑い声が聞こえてくる。
その笑い声に私の手は自然とノックしようとしていた手を止めていた。
…恭弥の笑い声、ではないみたい…この声の高さ…女の子…?
こんなに恭弥と楽しそうに話せる女の子は、知らない……いったい、誰…?
軽く眉を顰めてその場に固まっているとどうやら私の気配を察知したらしく、中から恭弥の「誰?」という鋭い声。
…ここまでバレてしまっていたら、入らないのも不自然、かな……
軽く覚悟を決めて私はその病室のドアをスライドさせると一週間ぶりに恭弥と対面することになった。
- 66 -
*前次#
ページ:
back
ALICE+