20.1



「また遅刻するー!」




なんで早く起こしてくれなかったんだよー!と文句を言いながら今日もまた走って登校する。
母さんの起こしたわよ、とかビアンキのツナが悪い、とか色々な声を聞きながら玄関を出て走っているとリボーンもその隣を優雅に歩き始める。

あぁもう早くしないともうすぐチャイム鳴っちゃうよ…!

そうやって急いで走っていると見慣れた後姿が見えてきて「あ!」と声をあげていた。
その後姿はあと少しでチャイムが鳴るというのにゆっくり歩いていて、何でそんなに余裕なんだろう?と不思議に思いながら「姫」とその後姿に声をかける。

最初は誰かわからなかったのか反応しなかったのだが、とんとん、と肩を叩くとはっとしたようにこちらを向いた。




「あ…ツナ……」

「おはよう!早く行かないと遅刻するよ?」

「えっ…あ…そっか…」

「…?急ごう!」




うん、と頷きながら姫は走り始めたがなんだかその表情が無表情なんだけどどこか暗い気がした。

…いつもと一緒、って言ったら一緒なんだけど、なんだかやっぱり違う気もする……

何かあったのだろうか、と心配していると校門が見えてくる。
風紀委員が立っていて、その中をぎりぎりに入っていった。危ねー!

ふぅ、と息をつくと姫も一つ息をついて歩いていた。やっぱりその顔はどこか違うように感じる。
まぁどこが違うのか、って聞かれたらわかんないんだけど……

風紀委員にびくびくしながら校舎に歩いていくと前から雲雀さんが歩いてきた。

あ、久しぶりに見たな雲雀さん。姫は連れていかれるだろうから先に行こう。

そう思っていたら雲雀さんは姫がまったく見えていなかったように姫の横を素通りしていった。
姫は雲雀さんが通り過ぎていったあと少し辛そうで、安心したような顔をしたが再びいつもの顔になるとペースを崩さず歩き出す。

え?え?どうして?どういうこと?どうして雲雀さんが姫に声をかけなかったの?
なんで姫はあんな顔をしたの?喧嘩した、とか…でも、姫はどうして安心したような顔を後でしたの?

疑問符ばっかりが頭に浮かんでその後姫に「どうしたの?」って聞かれるまで俺はずっとパニックになっていた。


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