21.1



遠くからでもお祭り特有のお囃子が聞こえてきて、それだけでもテンションが上がる。

…まぁテンションが上がるのは俺だけじゃなくて……



「早くいくぞー!」

「■○×△〜!」



一緒にいるチビたちもなんだけど。

本当は母さんが連れて行く予定だったんだけど、母さんに急な用事が入ってしょうがなく俺が連れて行くことになってしまった。
一緒に行くはずだった山本たちにも言ったら「にぎやかになるな!」って笑ってたけど。

こけるなよー、と出店に駆けていくランボとイーピンに声をかけると「ツナさん!」と呼ばれたから振り向けば、浴衣姿のハルと京子ちゃんが立っていた。



「ハル!京子ちゃん!」



偶然だね、と笑う京子ちゃんにツナさん!と嬉しそうに駆け寄るハル。
二人とも浴衣姿がかわいいな…なんて顔が少しだけ赤くなるのを感じながら一緒に集合場所まで歩いていく。

姫も一緒に回ることになったことを伝えると京子ちゃんは嬉しそうに「姫ちゃんも一緒で嬉しい!」と笑った。

ハルは不思議そうにしていたので、あとで紹介することを約束すると集合場所につく。

すでに山本、獄寺くんが来ていてまだ姫は来ていないようだった。
ハルたちの浴衣姿に獄寺君が「馬子にも衣装だな」って言ってハルの顰蹙をかっていたけれど。



「ごめんね、遅くなって」

「あ、姫…、…っ!」



おしゃべりに夢中になってた俺の背に聞き覚えのある声がかかって、振り向いて、言葉を失う。

ハルの「はひー!誰ですか、このスーパービューティフルガールは!」と顔を真っ赤にして叫んだ声にこたえることもできない。


黒地に鮮やかな青を使った桔梗の花が咲き乱れる浴衣を色っぽく着こなした姫が少し暑いのか頬を軽く赤く染めて立っていた。
まさに、大和撫子の姫を引き立たせる姿。

周りにいる誰もがその美しさに息をのんで見つめてしまう。


- 71 -

*前次#


ページ:

back
ALICE+