4.1



日直って本当に雑用だと思う。いや、それは全員が思っていることだと俺は思っている。
…しかも、よりによって一緒の当番が佐藤さんだなんて。

いや、別に彼女が嫌いなわけじゃない。
あんまりしゃべったことないけれど、大和撫子という言葉がぴったりなほど大人しくて和風美人な顔で成績は獄寺くんと一位を争うほどの優秀さ。
まさに高嶺の花なんだけれど、彼女はもったいないことに無表情であまり人と話そうとしない。
あんなに美人なんだからもっとモテてもいいはずだけど、話さないことによってさらに高嶺の花っぽくなってしまう。
もったいないよなぁ、なんて思うけれど俺には京子ちゃんがいるから特に深く考えることもなかった。

そういえば、佐藤さんといえば雲雀さんだよなー
よく教室に来ては佐藤さんを連れてどっかにいってしまう。二人ってやっぱ付き合ってんのかな。

ぼんやりとそんなことを思いながら日誌を書いているとがらり、と教室のドアが開く。
獄寺くんかな、と思って顔をあげるとそこには、先ほどまでの思考の中心だった人物が。



「あっ…!佐藤さん…!」



やっぱり無表情で俺を見つめる佐藤さんが教室のドアのところに立っていた。
なぜか勝手に佐藤さんは俺に日直の仕事を押し付けて帰ってしまったと思っていたから予想外すぎる彼女の登場にこっちが動揺してしまう。
慌てる俺とは対照的に彼女はじっと俺の顔を見て、そしてちらりと黒板を見やると何か確認したように小さく頷いた。



「……今日、日直だよね?」

「あ、えっと、う、うん」

「さっき、先生のところに行ってきたよ。後は一緒に花壇の水やりするだけ」

「え、あ、ありがとう!」



先生はもう帰ったらしく日誌は教室に置いたままでいいということを伝えられて、ちょうど書き終わった日誌を教卓のうえにおいておく。


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