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おじゃましましたー!という元気のいい声とともにみんな俺の家から出ていく。
いつぞやと一緒で俺は姫を送ることになり、寒いね、と言いながら夜道を二人で歩いた。
月明かりの中、降ってくる雪はすごく綺麗で、幻想的。
雪に混じる姫はどこか冷たいくらい美しく感じた。
そんな姫とは対照的に俺の頭の中にはリボーンの言葉がぐるぐると回って心は熱くなるばかり。
「お前がけじめつけろ」
わかってる。リボーンはダメツナな俺の背中を押してくれているんだ。
そっと隣で歩いている姫をもう一度見やって、覚悟を決める。
俺の覚悟を、きっと姫も受け止めてくれる。…ちゃんと、わかってるから。
「…姫」
「ん?何、ツナ」
ふわり、と雪が降り積もる中、姫がこちらに視線を向ける。
その瞳はどこまでも澄んでいて…少しだけ、覚悟がぶれそうになった。
―――姫を巻き込みたくない。
そんな気持ちがあっても、姫と離れることを考えるとその気持ちがかすれてしまう。
ゆっくり歩みを止めると姫は真剣に俺の目を見てくれる。
「俺…中学卒業したらマフィアのボスになるんだ」
「…うん」
「驚かないんだ」
「なんとなく、ね…十代目って呼ばれてるし」
「そっか。そうだよね…」
小さな沈黙が俺たちの間に落ちる。まるで、今の降り続いている雪のように。
言い出す前までは緊張で声が震えてしまうんじゃないかと心配していたけど、何故か心中穏やかだった。
さくり、と雪を踏む音しか聞こえないこの中で俺は小さく息を吐いた。
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