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「姫……、好きだ」
「…っ」
「オレと、付き合って」
そっと体を離して、姫とゆっくり目を合わせる。
姫も鈍感じゃないから、きっとオレの気持ちに気付いていたんだと思う。
さほど驚いた様子もなく、少しだけ悲しげな目をしてオレを見つめていた。
「私は、」
「雲雀さんのことが好き?」
「…っ」
「だから、付き合えない?」
「……、ツナ、」
「知ってるよ。姫の心はいつだって、雲雀さんにあることくらい。
…だから、雲雀さんのことを忘れろとも、オレのことを好きになれとも言わない。
ただ……彼女として、傍にいてほしいんだ。…傍にいるだけで、いいんだ」
ダメ、かな?
そう小さな声で尋ねる自分のなんと情けないことか。
姫はしばらく何も言わず、オレの手を握るだけだった。
…とても苦しそうに、…とても悲しそうに。
「私は…恭弥を忘れることができない」
「……」
「でも、…辛い時に傍にいてくれたツナのことは、すごく大切に思ってる。…失いたくない…って。
だから…こんな私でも傍にいることを望んでくれるなら…私も、ツナの傍にいたい」
「…!」
「ツナのこと、大切にしたいの」
悲しげな、…姫の精一杯の真心だった。
そして、それでもいいと、思った。姫が傍にいてくれるだけで……
やっと言えた気持ちと、聞けた気持ちにふわりと心が軽くなり、温かくなる。
ぎゅっと再び姫の体を抱きしめると「ほんと、幸せ…」とつぶやく。
…そのとき、姫がどんな表情をしていたか、知らず……
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