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すぐさま踵を返すと恭弥との思い出の公園に向かう。

今日はどうやら天気が悪いからか、寒いからか子供たちの姿はない。
静かな公園に一人、いつものベンチに座り込むとゆっくりと空を見上げる。



「…恭弥」



思い出すのは恭弥の不器用な笑顔。
不敵な笑みはよく見るけれど、幼馴染の私にだけ見せてくれていた、優しくも照れくさそうな笑み。

この笑顔が大好きで…いつまでもこの笑顔を見ることができると思っていた。
…大きな勘違いだったのに。

でも、…もう思い出すのはもうやめよう。

こんな私でも好きだと言ってくれたツナのために。…新たな道を進んでいる恭弥のために。

そして、もう苦しむことをやめたい、自分のために。

ふぅ、と息を長くゆっくり吐き出せば、白い息が空へと舞い上がる。
それをぼんやりと見つめていれば、少しだけ気持ちが楽になった。



「何してるの、君」

「…っ」



突然かけられた声に、聴きたくなかった声に、びくりと肩がこわばる。
ゆっくりと空に向けていた視線を声の主の方へ向ければ…どうしてこうもタイミングが悪いのかと自分を呪いたくなった。

……―――恭弥……

無表情で、どこか不機嫌そうな顔。
でも、事故の後遺症はないようで、怪我の治りはいいようだ。
私を睨む目は冷たくて、…一度も向けられたことのない目だった。

その目を見るたびに「あぁ、恭弥の中に私はいないんだ」と突きつけられて、泣きたくなる。



「何してるか、聞いてるんだけど」

「……ここは公園、公共の場所です。
他人の迷惑になるような行為があれば別ですが、私はそのような行為をしていません。
よって、何をしていようとあなたには関係ないと思われますが」

「君、僕が誰だかわかってそんなこと言っているの?」

「えぇ。誰であろうと私の答えは変わりません」

「ふぅん…気に入らないな、その生意気な態度」

「では、暴力を振るいますか?」



不機嫌そうな恭弥の目をまっすぐと見つめ返す。
確かに私の答えは少し不愛想だったかもしれない。…人を不快にする答えだったかもしれない。

でも、今の恭弥に優しくこたえられるほど、私に余裕はなかった。

恭弥の不機嫌さがさらに増し、ぴりぴりとした空気が流れるのがわかる。


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