2
すぐさま踵を返すと恭弥との思い出の公園に向かう。
今日はどうやら天気が悪いからか、寒いからか子供たちの姿はない。
静かな公園に一人、いつものベンチに座り込むとゆっくりと空を見上げる。
「…恭弥」
思い出すのは恭弥の不器用な笑顔。
不敵な笑みはよく見るけれど、幼馴染の私にだけ見せてくれていた、優しくも照れくさそうな笑み。
この笑顔が大好きで…いつまでもこの笑顔を見ることができると思っていた。
…大きな勘違いだったのに。
でも、…もう思い出すのはもうやめよう。
こんな私でも好きだと言ってくれたツナのために。…新たな道を進んでいる恭弥のために。
そして、もう苦しむことをやめたい、自分のために。
ふぅ、と息を長くゆっくり吐き出せば、白い息が空へと舞い上がる。
それをぼんやりと見つめていれば、少しだけ気持ちが楽になった。
「何してるの、君」
「…っ」
突然かけられた声に、聴きたくなかった声に、びくりと肩がこわばる。
ゆっくりと空に向けていた視線を声の主の方へ向ければ…どうしてこうもタイミングが悪いのかと自分を呪いたくなった。
……―――恭弥……
無表情で、どこか不機嫌そうな顔。
でも、事故の後遺症はないようで、怪我の治りはいいようだ。
私を睨む目は冷たくて、…一度も向けられたことのない目だった。
その目を見るたびに「あぁ、恭弥の中に私はいないんだ」と突きつけられて、泣きたくなる。
「何してるか、聞いてるんだけど」
「……ここは公園、公共の場所です。
他人の迷惑になるような行為があれば別ですが、私はそのような行為をしていません。
よって、何をしていようとあなたには関係ないと思われますが」
「君、僕が誰だかわかってそんなこと言っているの?」
「えぇ。誰であろうと私の答えは変わりません」
「ふぅん…気に入らないな、その生意気な態度」
「では、暴力を振るいますか?」
不機嫌そうな恭弥の目をまっすぐと見つめ返す。
確かに私の答えは少し不愛想だったかもしれない。…人を不快にする答えだったかもしれない。
でも、今の恭弥に優しくこたえられるほど、私に余裕はなかった。
恭弥の不機嫌さがさらに増し、ぴりぴりとした空気が流れるのがわかる。
- 85 -
*前次#
ページ:
back
ALICE+