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「いいでしょう。日程はそこのクロームを通して決めなさい」



六道さんの視線が私の後ろに向かい、そちらを振り向けば一人の女の子が静かに立っていた。

…いつの間に彼女はこの部屋に入ってきたのだろう。

話によると彼女は六道さんの分身。六道さんとは精神を通していつでも話せるらしい。
よろしく、とあいさつされ、彼女の方が話しやすそうだと少しだけ安心する。
今後のこともクロームさんを通すように言われて、…どうやらこの人に認められたようだと気づく。

よかった。今後も話してもらえそうだ。



「佐藤姫。君には今後楽しめそうですね」

「…そうですか」

「期待してますよ」



Arrivederci,という挨拶を残して彼の姿は霧のようにさらさらとゆっくり消えていく。

本当…つかめない人だ。
クロームさんと携帯の連絡先を交換し、無事に希望日程を聞くことができた。


そして、残るは…恭弥だけ。

本来なら本人に直接連絡するのが筋なのだろうが…まだ勇気がなくて。
恐らく恭弥のスケジュールを管理しているであろう草壁君に連絡をとった。



「もしもし、草壁です」

「よかった。電話番号、変わってなかったんだね」

「…!?もしや、姫さんですか!」

「うん。久しぶり」



電話の先で驚いた声は、あまり変わりはない。
あぁ、草壁くんだなぁ、なんて懐かしく思いながら元気?なんて世間話。

しばらくは世間話に花を咲かせていたが、大切な要件がある私はすぐに継承式のことを切り出した。

仕事モードになった草壁君はきりっとした声で対応してくれたが、スケジュールの話になると少しだけ困ったような声。
どうやら恭弥に出席確認をしなければスケジュールには入れられないらしい。

基本的に恭弥のスケジュールはあってないようなもの。
彼の気分次第で変わったりするものだから、不規則なのだとか。

…やはり、私の予想通り。あの頃からちっとも変わらない。

どうやら恭弥にも説得が必要になりそうだ。


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