3
「草壁君、恭弥は今どこ?」
「今は…ボンゴレ本部の近くの旅館に泊まっています」
「わかった。アポを取りたいの。恭弥につないで」
「で、ですが…」
「大丈夫。仕事に私情は挟まない」
「…わかりました」
しばらくお待ちを、と言われて保留の音が流れる。
その間、心臓が嫌な音を立てていたが、必死でそれをなだめていた。
恭弥に他人として接するのは、辛い。…でも、これは仕事。辛いなんて言っていられない。
かなり長い間待たされる。きっと、恭弥にうまく切り出せずにいるのだろう。
草壁君の身を案じ始めたころ、突然保留音が途切れて、…低くて…大好きな声が聞こえてきた。
「佐藤姫かい?」
「…は、い。佐藤です。お久しぶりです、ヒバリさん」
「世間話はいい。要件は?」
「…っはい…あの、」
どうしてだろう。さっき、六道さんと話すときはすらすらと言葉が出てきたのに。
恭弥となると一気に言葉がうまく出てこなくなる。
緊張からか、…胸の痛みからか。こんなことじゃ、仕事に私情を挟まないと言えない。
こんなんじゃ、ダメだ…!そう拳を握りしめると、大きく息を吸って、静かに息を整える。
落ち着け。恭弥相手でも、よどみなく話さなければ。…ツナのために。
「…継承式について説明したいことがあります。つきましては、守護者全員に集まっていただき、継承式の確認をさせてください」
「僕に群れろって?」
「いえ。あなたが風紀の財団を立ち上げたことは知っています。
財団のトップとして、ご出席いただきたいのです。顔を売っておけば、何かしら都合がよろしいかと。
そのときに恥をかかないための準備をお考えいただければ」
「…ふぅん…なるほどね。確かに一理ある」
「都合のよい日はいつでしょうか。雲雀さんの予定を優先してお決めします」
ただ単に恭弥と六道さんしか予定を確認する必要がないだけなのだが……ものはいいようだ。
いくつかの希望日を聞き出し、すぐに六道さんのスケジュールと照らし合わせる。
どうやら二人が都合のいい日は明後日のようだ。
明後日はどうか提案すると午後から組んでほしいと言われ、了承する。
では、明後日の13時から、と約束できるとすぐに携帯は切られた。
その瞬間、一気に力が抜けていく。
「…はぁ……」
緊張、した。ドキドキと今さらながらに心臓が音を立てる。
これは恭弥と話したからなのだろうか。それとも、仕事がうまくいった高揚感からだろうか。
どちらとも取れないが、すぐさまクロームさんをはじめ、みんなに明後日に決まったことを連絡する。
これからもっと忙しくなることを考えながら……
- 95 -
*前次#
ページ:
back
ALICE+