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お食事も終わり、本題だった書類も渡せたところで、みんなでお店を出ることに。

うまかったな、と話しながら廊下を歩いていると突然ディーノさまが足を止める。
どうしたのだろう?と首を傾げると、ディーノさまが見る見るうちに嬉しそうな笑顔になった。



「恭弥!」

「…っ!」



偶然だな!と嬉しそうに駆け寄るディーノさま。
その先には無表情、いや、少しだけ鬱陶しそうな顔をした恭弥と草壁さんが立っていた。

どうして恭弥がここに、と少しだけ胸がきゅっと締まる。

…そんな私の横顔をツナが見つめていたことに気付きもせず。

ツナも歩き始めたので、私も倣ってゆっくり歩き出す。
私たちにも気付いた恭弥は君たちもいたの、と声をかけてきた。



「雲雀さん、よくここに来るんですか?」

「…まぁね」

「恭弥は本当に日本が好きだよな〜」

「当然でしょ、日本人なんだから」

「そういや風紀財団の調子はどうだ?」

「心配される筋合いはないね」

「ちぇっ、かわいくねーの」



恭弥らしいやりとりに恭弥とも仲がいいことが知れる。

そういえば一時期恭弥が並盛から離れたときに誰かと戦っていると言っていた。
金髪の男だと。…もしかして、ディーノさまのことだったのだろうか。
あの時は恭弥は私を巻き込みたくないと詳しくは教えてくれなかった。

師匠面するな、と邪険にする様子からも、きっとそうだったのだろうと予想できる。



「ん?そういえば由里はどうした?」

「…いつも一緒ってわけじゃない」

「でも由里は恭弥の彼女兼秘書みたいなもんだろ」

「……一人でした方が早いこともある」

「へぇーツナは姫といつも一緒だから恭弥もかと思ってたぜ」

「うるさいよ」



余計なお世話だとにらむ恭弥の機嫌が一気に悪くなったのがわかった。
恐らく私たちと比べられたことが恭弥の自尊心を傷つけたのだろう。

ディーノさまの天真爛漫さは素敵だと思うが、今のは恭弥にとって禁句であることは誰にでもわかる。

今にもトンファーで殴りつけそうな恭弥の雰囲気にすぐさま私は恭弥に話しかけていた。



「雲雀さん、この間の任務、お疲れさまでした。早くて助かりました」

「…別に」

「匣について情報が手に入りましたらまたご連絡します」

「あぁ、君だったのか。あれは面白かったよ」

「恐れ入ります」

「雲雀さん、今度パーティーがあるんですけど、」

「君の指図は受けないよ、沢田綱吉」



がっつり断られてしまった。しかも即答で。


少しだけ落ち込んでいるツナに慰めのため肩を優しくたたくと苦笑されてしまった。
ツナは中学の時からのくせで中々恭弥に強く言えない。

しかも恭弥は「僕はボンゴレの守護者なんかになった覚えはない」と公言している。
だからツナも命令なんてできないし、…メリットがなければ恭弥も任務は受けてくれない。

要は、伝え方次第なのだ。



「雲雀さん、パーティーに出ていただければ、レティッカファミリーの情報を優先的に流しますが…どうしても出ていただけませんか?」

「……ふぅん」



そう提示すれば恭弥は少しだけ思案してくれるそぶりを見せる。
でも、そぶりだ。…恐らく、恭弥の心の中はすでに決まっているはず。

しばらく無言で待っていれば、恭弥はやはり「詳細は後で送って」と言ってくれた。

はい、と頷くと「すげぇ!」とディーノさまが目をキラキラさせる。



「姫、すげぇな!あの恭弥を説き伏せるなんて!」

「いえ、説き伏せるなど。雲雀さんは…クライアントですから。クライアントが納得する条件を提示しただけです」

「本当…優秀な秘書だよな、姫って」



キャバッローネにも来てほしいぜ、と言われ「あげませんよ」とツナが笑う。

そんな話をしていると恭弥は黙って背を向けて歩き始める。
じゃあね、とか言わないあたりが恭弥らしい。

じゃあな、恭弥!とディーノさまが声をかけたけど、それに対しても何も反応することなく行ってしまった。


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