駅で汽車を降りた途端、聖は一瞬で悟った。

―――もうこの町に人間はいない……


神田も同じように思ったのか少し顔をしかめたが仏頂面に戻る。



「おい、始まる前に言っておく」

「なんでしょう?」

「お前が敵に殺されそうになっても任務遂行の邪魔だと判断したら俺はお前を見殺しにするぜ!
戦争に犠牲は当然だからな。変な仲間意識持つなよ」



新人が一緒のたびに言うセリフ。
変な馴れ合いはいらない。…なれ合ったっていいことなんて一つもないのだから。

だからいつものように告げた。助けない、と。
さて、この新人はどんな反応をする?怒るのか、無情だと軽蔑するのか。



「そうですね…私も犠牲は当然だと思います。任務優先なのは当たり前ですよ。
そこは私も賛成なんですが、ありえないですけど、もし神田さんが殺されそうになっていたら助けますから。そこだけは覚えていてくださいね」



そう言って聖は神田に笑いかけた。
神田は少しだけ目を見張ったが、すぐに顔を背ける。
聖は気に入らなかったか、と不安になったが、神田は聖の発言に内心驚いていた。

いつもなら「酷い」と罵られるか「仲間をなんだと思っているんだ」と意見を否定されるのに……
こいつはあっさり賛成までして…さらに俺を助けるとまで言った。

……おもしれぇな、こいつ。



「ふん、わかってんじゃねぇか。だが俺を助けるなんざ100万年早ぇな」

「ふふ、私もそう思います。ちょっと生意気言ってみただけですから」


任務中だというのに空気は軽かった。


「さ、行きましょう?アクマがもうそこまで来ています。
いくら無人駅だからといって駅を壊すわけにはいきませんから」

「わかってる」



短く返事をして駅から離れたところですぐにアクマが40体ほど現れる。
しかし、すべてレベル1のアクマであり、厄介なのは数だけだ。

神田と聖のレベルでは敵ではない。



「レベル1ばっかだな…」

「…私はあっちに行って破壊します。では後ほど」

「…!?ちょっと待て!勝手に…!」

「すみません」



すまなそうな笑顔を見せたが、止まる気はないらしく聖はすぐに姿が見えなくなる。
そんな聖に神田は小さく舌打ちを一つする。

勝手に行動しやがって……、…とにかくこのアクマを破壊するか。
あいつが危ない目に遭っても助けないと言ったのはオレだ。

…そう心の中で言いながらもいつもより早く発動し、動き始めていた。



「六幻」


災厄招来 “一幻”!!


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