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「聖!」

「おはようございます。リナリー」

「ふふっおはよ」



ここは食堂へ行く途中の廊下。
珍しく神田とは一緒ではなく、一人廊下を歩いている聖に声をかけたのは…もう誰かお分かりだろう。

この教団のアイドル的存在のリナリーだ。

朝早くだというのに、リナリーは美しく長い髪をツインテールにして爽やかな笑みを浮かべていた。



「リナリーもこれから朝食?」

「えぇ。よかったら一緒に食べましょ!」

「はい。よろこんで」

「よかったわ(これで聖と二人っきり!)それにまた敬語になってるわよ」

「え…あ、ごめんなさい。また無意識に…」


敬語を指摘されて、まだ癖が抜けていないことに恥ずかしさを覚えたのか、聖は少しだけ顔を赤くしながら目線を下げる。
そんないじらしい姿にリナリーは「(かわいい!)」と妹ができたような気持ちで見つめていた。

歩いていくとみんな必ずといっていいほど振り向いていく。
それはそうだ。教団のアイドルと最近人気大爆発の美女である少女2人が歩いているのだ。
これで振り向かない男はいないだろう。

もちろん周りの反応に気付いていた聖は感嘆のため息をついた。



「…リナリーはやっぱりモテモテだね」



すごい、と聖がにこっと笑いかけた瞬間、周りの男達みんなしてその笑顔に釘付けになる。
その様子を横目で見たリナリーはすかさず黒いオーラをふりまいた。



「(聖の可愛い笑顔は私のよ!)聖、(みんなあなたに振り向いているって事)自覚してる?」

「なにを?」

「ううん!いいの!」



本当に不思議そうに首を傾げる聖に慌ててリナリーは手を振る。
このままでいいのだ。気付いていないのならそのまま何も気にすることなく素直な笑みを見せてほしいとリナリーは思ったのだ。

さ、食堂に行きましょう?とリナリーは妹に向けるような優しい笑みを浮かべて聖の手を引いた。



「ジェリーさん、おはようございます」

「おはよー!!聖ちゃん!今日も一段と可愛いわね!何食べる?」

「じゃあ…お蕎麦をお願いできますか?」

「蕎麦?神田みたいねぇ…でも任せなさい!」



男らしくウィンクして鍛え上げられた腕をばんばんっと叩く。
そんなお父さんのように頼もしく、お母さんのように優しいジェリーに聖はくすりと笑みをこぼした。

よろしくお願いします、と伝えると隣にいたリナリーもジェリーに挨拶した後いつものようにAセットを頼んだのだった。
奥へと入っていったジェリーを見送り、リナリーはそれにしても、と小さな笑みを浮かべる。



「聖はお蕎麦が好きだったのね」

「はい!日本にいる頃が懐かしくて…」

「なるほどね。…ふふっ、神田もお蕎麦が好きなのよ。やっぱり日本人だからかしら?」

「そうかもしれませんね」



ほのぼのとした美少女2人の笑顔が食堂全体の雰囲気を明るくする。
近くにいたファインダーや科学班、医療班などのメンバーは「あぁ目の保養…」なんて呟きながら二人の笑顔を見守っていた。

その中に紛れて……緋色の髪がリナリーの後ろに立った。



「リナリー、おはよー!」

「あら、ラビじゃない!おはよう」

「朝からみんなどうしたんさー?それに前の子…女の子さ!?」



目をきらきらさせてトントンっと前に立っていた聖の肩をたたいた。
聖は肩を叩かれたことで、誰だろうと首を傾げながら振り向く。


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