バキュ―――ン



「あれ?」



今、銃声がしなかった?と聖はリナリーに聞こうとすると緋色の髪が目に入る。
あぁ、もしかしてこの人に呼ばれたのだろうか、と目線を上げると目がハートになっているラビの顔。

どなたですか?と聞く前にラビは「めっちゃストライクさぁぁ!!」と叫んでいた。
ストライクとは?と聞きたいことは山ほどあるのだが、その前にラビは拳を握りしめて聖に詰め寄っていた。



「お嬢さんお名前は?歳は?好きな人いるさ?いなかったらオレと付き合って、…ッぐはっ」



見事リナリーのダークブーツがラビの頭にクリーンヒット。
もちろんリナリーは周りが凍り付くような黒い笑顔を浮かべていた。

「何触ろうとしてるの近い離れなさい」と息継ぎもなしに言い放ったが、当のラビは蹴られたことで目を回している。
突然リナリーに蹴られたラビに聖は驚きつつも、意識を失っているラビが気がかりで「だ、大丈夫ですか?」と声をかけていた。
そんな聖にリナリーは再び柔らかな笑みを浮かべると、さりげなくラビから引き離した。



「聖、大丈夫よ。きっと眠かったんじゃないかしら」

「え…でも、さっきリナリーに、」

「え?私?何もしてないわよ?(にこにこにこ)」

「(な、なんかこれはつっこんじゃいけない気がする…!)」



リナリーの笑顔に何かを察した聖は「そ、そうですか…」とぎこちない笑みを浮かべる。
「さ、ラビなんておいていきましょ!お料理できてるわよ」と言って歩き出すリナリーに結局何も言うことができず、ラビとリナリーを2,3回見比べた。
聖はいくら寝ているとはいえ、おいていけるはずもなく、…だからといってリナリーを置いてラビを医務室に運ぶこともできず。
とりあえず、聖は自分が羽織っていたカーディガンをラビの体にかけると、リナリーのあとを慌てて追った。


ジェリーさんに手渡された蕎麦を持って、リナリーと一緒に近くの席に座る。
いただきます、と手を合わせて食べ始めると聖は蕎麦のおいしさに顔を綻ばせた。

そんな聖の様子をリナリーは「かわいいー!」と心の中だけで悶えていたとか。



「リナリー?食べないの?」

「…ハッ!あ、う、ううん!食べるわ。ちょっと考え事してたの」

「そう…、疲れてるなら休んだ方がいいよ?」

「大丈夫よ。ありがとう、聖。優しいわね」

「た、大切な友達を心配するのは当然です…」



面と向かって褒められたので、少しだけ気恥ずかしくなる。
しかし、照れたことに気付かれたくなくて、聖は照れ隠しに蕎麦をちゅるっと啜った。

そんな時、



「照れてるさねー可愛いさ、聖ちゃん」

「「!!??」」

「ラビ!?いつの間に復活したの!?」

「さっきさ〜!それにしても聖ちゃんっていうんさね。
ハジメマシテ、ラビっス。ちなみに同じエクソシスト。ラビって呼んでさ」



この上着も聖ちゃんのだよな?ありがとう。と人懐っこい笑顔を浮かべてカーディガンを差し出す。
どういたしまして、と返しながら聖もラビの笑顔に心を許し、華やかな笑みをつくった。



「はじめまして、ラビさん。海神聖と言います。よろしくお願いします」

「〜っ可愛いさぁ!!」



思わずなのか、ラビは聖の体にぎゅっと抱き着いた。
急に抱き着いたので、さすがのリナリーも止めることはできなかった。

聖は驚きつつも引きはがすことができず、困ったように「は、離してください、ラビさん…」と顔を赤くしていた。
そんな優しい聖の対応にラビは調子に乗ったのか「抱き心地も最高さぁ」と抱く力を強める。

…しかし、そんな横暴をそのままにしておくはずがなく。



「おいコラ兎。オレの聖に何してやがる。よほど死にたいようだな…」



チャキっという音とともにラビの首元に当たる六幻の先。
さらには今にも人を殺せそうな鋭い殺気も向けられる。

声の持ち主にラビの顔が一気に青ざめ、瞬間移動のように聖から離れる。


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