コムイに呼ばれたなんて嘘。

聖はさすがに言い訳が苦しかったと思ったが過ぎたことはしょうがない。
きっとみんな不思議に思ったことだろう…

聖が部屋に戻るとすぐに髪が黒くなる。


“聖様…どうされたのですか?”

「…ラビの目…あれはまちがいなくブックマンの目でしたね…」


悲しそうに聖の目の奥が揺れる。
そんな悲しそうな主の姿に風も少し迷ったが聖の言葉に同意した。


“私もそう思います…”

「例えるならガラス、ビー玉…ですね。私のこと、ちゃんと見てくださらなかった…」

“仕方ありません。彼はおそらくブックマン次期継承者…”


わかっている。ラビが悪いわけではない。
ブックマンとしては当然なのだ。

何者にも感情をうつさない、ただ公平に裏歴史を記録する者達として……

それは理解している。頭で理解できていても、心が少しだけ寂しさで軋んだ。


「でも…自分を見てくれないのは…悲しいんです」

“いつかきっと…聖様を本当の目で見てくれます”


根拠はない。
もしかしたら悲しそうな主を慰めるためだけの言葉だったのかもしれない。

しかし、ラビはどこかブックマンとは違うものを感じた。
きっとブックマンの存在意義を変えるような…強いモノを……

聖も同じものを感じていたからこそ、風がいうことに少しだけ肩の力を抜くことができた。


「そう…ですよね。ラビはまだブックマンではないのですから…」

“はい。ラビ様を信じてあげてください”

「そうですね。信じます。ありがとう、風」


慰めるような、元気づけるような風がふわっと髪を撫で、髪は元の金髪に戻る。

決心したように聖はそっと目をつぶった。


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