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「つ、疲れたさぁ…」
汽車の屋上。
あまりの全力疾走に思わず大の字になって寝そべっているラビ。
神田と聖も息切れはしているが倒れこんではいない。
少しだけ息を整えると聖はキョロキョロと周りを見渡す。
「今回はファインダーさん、いらっしゃらないんですね」
「あぁ。アクマの破壊だけだからな。ファインダーは足手まといになるだけだ」
「そう…ですね。あの、中に入りませんか…?」
「だな。おい、行くぞ」
神田が寝ているラビをゲシっという音とともに蹴る。
いつもながら容赦ない蹴りにラビは腰をさすった。もちろん「痛いさ!」という文句とともに。
しかし、神田にとっては聞こえないも同然。
置いていくぞ、と聖に声をかけて神田はさっさと汽車の中に入ってしまった。
そんな神田の対応に聖は困ったように二人を見比べたが、先に行っていますね、とだけ伝えて神田の背を追いかけた。
置いて行かないでさぁっとラビが心の中で叫んだのは言うまでもない。
「…ラビ、置いてきてよかったんでしょうか…」
「いいんだよ。すぐ来るだろ」
駅員に通された部屋で資料を読んでいる神田と聖。
もちろん神田の隣にいるのは聖であり、前に座ろうとした聖に「お前はこっちに座れ」と腕を掴み、こっちに座らせたのだ。
しかし、さっきから聖はラビのことばかりを気にしている。
さすがの神田も嫉妬するというものだ。
「でも…あれからもう何分も経ってます。…ユウ、やっぱり私、ラビを探してきます!」
勢いよく立ち上がった聖に神田はついに堪忍袋の緒がきれた。
わかってる。
聖が人一倍、優しい奴だということは。
でもラビ…他の男のトコに簡単に行かせたくない。
(これはただの醜い嫉妬だ)
「行くな!」
「…でも、」
心配そうな顔をする聖にますます神田は不機嫌になる。
どうして神田が不機嫌になっていくのかわからない聖は困惑したように、彼の名前を呼んだ。
「ユウ、あの、「二人とも酷いさぁぁぁ!!」
勢いよく扉が開いたかと思えば、叫びながら入ってくるラビ。
立っている聖を見るとラビは反射的に抱きついた。
…それが神田の琴線に触れるとは思いもよらず。
「きゃ!!…ラ、ラビ!離れてください!」
「聖まで置いていくからさぁ!!オレめっちゃ悲し、」
思わず言葉が切れる。
目の前には後ろに般如を従えた神田が六幻を構えていたから。
さぁっとラビの顔色が真っ青になる。
ゆっくり聖から離れて、降参のポーズを見せるが神田から殺気が消えることはない。
やばい。オレ死ぬ。
そうラビは直感的に悟った。
「六幻…災厄招来…」
「っぎゃー!待つさユウ!ここ汽車の中…!」
「ユ、ユウ!落ち着いてください!」
攻撃を阻止するため聖はぎゅっと神田に抱きつく。
お願いします…と背の低い聖が見上げると神田にとって当然上目遣いになる。
しかも聖から抱きついてくれたのだ。
いくらラビを助けるためとはいえ、自分から抱き着いてくれたことが嬉しくて神田の怒りがどんどん静まっていく。
「…わかった…」
「(聖パワーさっ!!)」
命拾いしたさぁっと呟いたラビに聖が苦笑したことを幸いにも神田は知らない。
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