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「Twins rose (双子の薔薇)」
手に現れたのは赤い薔薇が施された銀の銃-----スカーレット。
本来、ツインローズは名前の通り二丁銃。
もう一つの蒼い薔薇が施された銃は治癒、防御用のアジャー。
戦闘にはスカーレットだけで充分だと判断した聖は一丁だけ出したのだ。
殺気を放ちながら構えるとミオンが間合いをつめてくる。
「…っ(速いっ!)」
とっさに聖は身を引き、間合いを広くとって着地する。
…動体視力は比較的いい方の聖ですら、走るときのモーションが見えなかった。
だからこそ、かわすときに少し遅れて身を引いてしまったのだ。
こんなことは滅多にない。あるとすれば、
「…あなた、異常に速いですね。普通のレベル3とは思えない速さです。…あなたの能力、ですね?」
「さすが聖様。そうです。私の能力は速く動くことができること。
いくら聖様でも私のスピードについていくこと不可能だと思いますよ」
「それはどうでしょう?イノセンス、コンバート」
「(コンバート!?聖様のイノセンスとは…!?)」
「“黒い靴(ダークブーツ)” 発動!」
スカーレットが消え、リナリーのダークブーツに転換される。
その瞬間、聖の姿はミオンの後ろへと移動していた。
その速さは、ミオンと互角。
ありえない速さにミオンは思わず息を飲んでいた。
「体術は得意ですよ?」
ぶんと横からの蹴りがミオンの頭をかする。
そこからは蹴りと拳の攻防戦が続いた。
「くっ…」
「う…!あっ」
だんだん傷をつくっていく双方。
聖も決定的な傷を与えられず、確実に体に傷がついていく。
「(ミオンは今までのレベル3とは違って強い……このままでは…っ)」
負ける。
そう思った瞬間にできた小さな隙。
その隙をミオンが見逃すはずもなく、痛烈な蹴りが聖の鳩尾に入った。
苦しそうな声を上げて、叩きつけられる体。
こみ上げる血をおさえることができず、聖は血を吐き出した。
「(ダメ…目が…霞むっ…!…しょうがない…)」
動かない聖にミオンはゆっくり近づく。
…やりすぎた、という気持ちはあったが、少しでも力を抜いていたらやられていたのはミオンの方だ。
それだけぎりぎりの戦いだった。
ミオンは意識を失っているであろう聖を心配そうに見つめた。
「(聖様…大丈夫でしょうか…)」
「…我、契約を…なす……出でよっ…大精霊!!」
「…!?」
大きく吹き荒れる風に木々がざわめきはじめる。
ミオンは本能的に大きな力を感じ、恐怖心から威嚇するように殺気を大きくした。
「何が…?」
「聖様!!」
精霊である風が突然ミオンの前に現れる。
しかし、敵であるミオンには目もくれず、風は心配そうな顔をしながら聖のもとへと駆け寄った。
聖は支えるように手を差し伸べる風を手で制し、自分の力で立ち上がる。
「大丈夫です。…それより…あのアクマを倒すことを命令します…!」
「御意、我が主」
ぶわりと風の殺気が周りを圧倒する。
――殺される。
そう直感的に思わせるほど、風の殺気にミオンは身を震わせた。
「なん…だ……っ」
「我が主、聖様の命によりお前を破壊する!
聖様を傷つけた代償…その命をもって払って貰う!!」
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