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強い…!なんだ…っこいつは…!
そうミオンが焦るほど風の強さは圧倒的であり、ミオンの体は破壊寸前だった。
しかし、ミオンは大きな違和感を感じていた。
目の前にいる彼はエクソシストの服を着ていない。執事が着る燕尾服だ。
それに…風からイノセンスの気配を感じない。…しかし、イノセンスでないと傷つかないはずの体には多くの傷がついている。
「あなたは…一体…」
「私?私は…聖様を守るナイト、ですかね」
「…そう…ですか…」
聞きたかった答えではなかった。…だが、ミオンは何故か穏やかな気持ちになり、…無意識に聖に視線を向けていた。
その視線はどこまでも優しく…どこか、愛しげだった。
聖様…私はあなたに会えて幸せでした。
アクマである私を同等に扱ってくださったあなたに……
また生まれ変わったときもあなたに会いたい。
聖様…お幸せに……
それだけ言ってミオンは破壊された―――
砂になって消えたミオンを風は一瞥して、すぐに聖のところに駆け寄り、その体を抱き起した。
「聖様…大丈夫ですか?」
疲れているのか…意識を失っているのか、聖の閉じた瞼は動くことはない。
返事をしない聖に風は胸騒ぎがして、思わず抱きしめる力がこもる。
…以前にもあった。陰陽師の力を高める修行をしているとき、力を使いすぎて意識を失ったことが。
その時は高熱で3日は意識を取り戻さなかった。あの時の聖の姿が重なって、…風は少しだけ胸が締め付けられる。
「聖様、起きてください……いつもみたいに笑ってください…っ」
風が心配そうに聖の頭を優しくなでる。
今回は、手強かった。…私を使うくらいだ。
普段聖様は私を、精霊を使いたがらない。精霊が傷つくのは嫌だと言って。
…私としてはいつも使ってほしいくらいです。
そうすれば聖様が傷つくことはないから……
だが、聖様は私に傷ついてほしくないことも充分わかっていた。
…でも…私だって聖様には傷ついてほしくない。大きなジレンマだ。
聖様は優しいゆえに…傷つく。
(この世で一番傷ついてほしくないのに)
癒す力はないが少しでも聖様の痛みを和らげたくて、抱き起こした体を優しく抱きしめた。
しかしすぐに風の雰囲気が変化し、警戒したように固くなった。
「誰だ!」
「…お前達こそだれさ?」
「(ブックマン…ラビ)」
風はただ冷めた目で見つめる。
ラビも風の殺気に押されながらもにらみ返した。
「聖から離れろさ」
「仲間面しないでください。私は聖様を守る者です。
あなたこそ聖様に近寄らないでください」
聖様に悲しい思いをさせて…あんな顔も…!
そう批難したかったが、…それは、目の前の彼は知らないことだ。
ぐっと我慢して、風は努めて冷静な声でラビに話した。
「聖様は大切な私の主。
あなたが近寄っていい存在じゃないんです」
「…どういうことさ?」
「あなたにそれを知られるわけにはいきません。ユウ様はどちらですか?」
「ユウ…?なんでユウをいちいち呼ぶんさ?オレだってユウと同じ仲間さ!」
「ユウ様は特別なんです」
「…っ」
ユウは特別…、…オレは、仲間とさえ見られてないんか…っ?
ラビが悔しさにぎゅっと拳を握ると神々しい声が遮る。
「おやめなさい、風」
「「聖(様)!」」
二人の会話に意識が戻ったのか、聖は自力で体を上げると激痛が体を走った。
痛みに思わず顔をしかめると、その表情に気付いたラビが風をのけて聖を支える。
「聖…っなんで無理したさ!」
「…ラビ、やっと私の目を見てくれましたね」
「え…?」
まったく予期せぬ答え。
怒ったラビはふわっと嬉しそうに笑う聖に困惑する。
「ラビは、初めて会ったとき、私を本当の目で見てくださらなかった…、…まるで…ビー玉のような硝子の目でした。私はそれが悲しかった」
『きみの目はガラス玉みたいだね。
僕を映しているけど、それは反射しているだけで、中には何も届かない』
「聖…」
正直驚いた。
まさか聖にもダグと同じ事を言われるなんて思っていなかったから。
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