愛せよ雲雀くん!



恋せよ雲雀くん!の続編







年々スキンシップが過激になっているのは気のせいだろうか。



「おはよう、姫」

「ぎゃー!!」



朝から何というあられもない声をあげているのだろうかと周りの人達は視線を向けたが、私と雲雀さんだと気づくと「ああ、またか」と視線をそらす。
私はというと痴漢撃退とばかりに抱きついてきた張本人である雲雀さんの鳩尾にすかさず肘をいれた。
「うっ…」とうめき声をあげて、雲雀さんは踞るけど知ったことじゃない。



雲雀さんと出会って数年。

私たちは高校生になった。
本当なら高校生になったら違う学校になるはずだったのに、何故か高校まで雲雀さんと一緒。
(…何かどー考えても雲雀さんの裏の力が働いたとしか考えられない)

最初はストーカー、次は(無理矢理)手を繋ぐ、今は毎日のように抱きつかれている。
そのたび雲雀さんを撃退するのだが、如何せん雲雀さんの心は鉄。めげることはない。

いっそのこと女子校に進めば良かったかと後悔する、今日この頃である。



「くっ…今日も姫の愛は痛いくらいに強烈だね…」

「どうやったらそういう解釈に!?…っ、あの、だから…いきなり抱きつくなんて…」

「恥ずかしがることないんだよ」



優しく諭されるようにいうが、大体抱きつくこと自体がダメなわけで。
こんなかっこよくいうセリフではない。

…と、いうことには全く気づいていないのだろう。
私は再び呆れたように肩を落とす。




「いや、恥ずかしがってるわけじゃなくて…、…ほら!突然抱きつかれたら驚くというか、」

「なんだ、そんなこと」

「…!やっとわかってくれたんですね!」



ようやく…!!ようやく、話が通じた!!
こんなことは初めてじゃないだろうか。
いつもは会話のキャッチボールなんて全然成り立たないのに…!
数年の努力が報われたのね…!

じぃぃんと感動していると、雲雀さんは一歩私に近づき、そっと私の腰に手を回す。

ん?ん?なんで、腰に手を回した?…ていうか近い!



「ねぇ、姫…抱き締めていい?」

「え、」

「返事聞く前に抱き締めるけどね」



それって意味ないんじゃないか、とか、許可をとれって意味じゃない、とか言いたいことはいっぱいあった。

でも、雲雀さんが私を抱き締める温もりがあまりにも優しくて…温かいから。
今日くらいいいか、と私は雲雀さんの胸におでこをくっつけて、その温もりに目をつぶった。




愛せよ雲雀くん!



「…………やばい」

「え?」

「ムラムラしてきた」


さわさわさわさわ。

腰に感じる違和感。
恐る恐る下に視線を向ければ、いつの間にか雲雀さんの手は私の腰を撫で回していた。


「………ッ!!!こんの…っ変態ー!!!」


バッチーーーン!!


もう一生絆されないんだから!!

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