久しぶりに飲みたいね、という話になり、恭弥と一緒にバーに行く。
そのバーは恭弥がいつも行くお店だから自然とマスターと話す時間が長くなる。
恭弥とマスターが楽しそうに話している隣で静かに飲んでいたら「隣いいですか?」と声をかけられた。

え、とびっくりして振り向けば、イケメンなお兄さん。
特に断る理由もないのでどうぞ、と言うと彼は隣に座った。

と、同時に何故か恭弥が少しだけ間をつめてきた。
肘が完全に恭弥の体に当たるくらい…ううん、片腕で抱き締められているくらい。



「恭弥…?」

「何?」

「…ううん、何でもない」

「そう。…姫、次何飲む?」

「え。あ、じゃあ…サンライズ」

「マスター、サンライズ」

「隣の人…もしかして彼氏さんですか?」


彼氏、という言葉に少しくすぐったく感じたが、はい、と頷く。
お兄さんは「イケメンですねー」と小さく笑った。

お兄さんもイケメンですよ、と返すと「嬉しいなぁ」と流す。

きっとこの人すごくモテそうだなぁ……
話していて、とても面白い。

笑っていると突然お兄さんに手を握られる。
さらっと、さりげなさすぎて、びっくりする時間もない。



「姫さん、本当にかわいいですね」

「え、あ、ありがとうございます…?」

「彼氏がいなかったら押してます。いや、押し倒してるかな?」

「ふふっ…!冗談がお上手ですよね」


そう笑って、ゆっくりと手を離す。
その瞬間、突然恭弥が隣で私の手を繋いできた。
しかも隣の彼に見えないように腕で隠しながら。

どきり、と胸が高鳴る。

誰にも見えないように…まるで私たちだけの秘密のようで。


そっと恭弥を見ると、恭弥は何もないようにお酒を傾けている。
いつも使う右手ではなくて、左手で。
その姿にもどきりとして、…何だか顔が熱い。



「姫さん、今度もしよかったら食事でも、」

「…ごめんなさい。私には…大切な人がいるので」



私の言葉に、恭弥が繋いでいた手の指を絡める。

伝わってくる手の温もりと…指の感覚にドキドキがとまらない。

そうですよね、とお兄さんは悲しそうに笑ってお店を出ていく。



「…僕の前で浮気?」

「してないよ」

「ふぅん…」


するり、と親指で手を撫でられて、まっすぐに目を見つめられる。
…その仕草がベッドの中のもので、胸がざわついた。


「僕なしじゃ生きられないようにしようか?」

「…っ、もう…なってるよ」


恭弥が一番。
恭弥がいないと、生きていけない。

私の答えに恭弥は「ワオ」と色っぽく笑うとと私の耳元に唇を寄せた。



「いい子だね。…堕ちるとこまで堕ちてみる?」

「…恭弥となら」



どこまでも一緒に


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