Seen by moon
付き合い始めて一週間…もうどきどきがとまらなくて、これって夢なんじゃないかな、なんて思ってしまうくらい幸せ。
一週間前…私はずっと片思いだと思っていた沢田綱吉先輩と付き合うことになった。
私は一後輩で綱吉先輩は私の名前くらいしかわからないんじゃないかと思っていたら、この前「好き、なんだ。付き合ってくれない?」と先輩が珍しく照れながら言ってきたのだ。
その時の私は頭パンクしてて間抜けな顔をしていたと思うけど、辛うじてはい、と答えることができた。
普段少し意地悪だけど、どこか人を気遣える優しさに私は前以上にどんどん惹かれている。
あぁ好きだな、なんて思いながらベッドに寝転ぶと携帯にメール。
誰からだろうと見てみたら先程までの思考の中心にいた綱吉先輩で。
慌てて中身を読んでいくとどうやらさっきまで獄寺先輩たちと一緒に遊んでいたらしい。
楽しそうなのが伝わってきて、思わず笑っていると今度は綱吉先輩からの着信。
で、電話とか初めて!どうしよう!いや、どうしようじゃないよ、出なきゃ!!
「もしもしっ」
『あはは、そんな慌てることないでしょ』
「あ、慌ててなんてない、です…!」
嘘。かなり焦った。
そんな嘘、綱吉先輩にはお見通しなのか喉の奥で小さく笑ったがそれ以上は何も言わなかった。
『今、家?』
「はい。部屋でゆっくりしてました」
『…ねぇ、姫』
「はい?」
『会いたい』
「…!」
どきり、とした。
たった一言。されど一言。しかも好きな人から言われた言葉。
顔が熱くなっていくのがわかる。
でも、私は無意識のうちに自分の気持ちを口に出していた。
「…私も、会いたいです」
気づいたときにはもうそう言ってて、今更になって羞恥心が込み上げてくる。
わ、私…なんてことを言ってんの…!!
でも本心は確かに会いたいというか…でも、こんな時間に会えるはずないのに……
『じゃあ、玄関から出て』
「え…」
『下で待ってるから』
えっ!?と綱吉先輩の言葉に驚きながら階段を駆け降りる。
慌てて玄関を開けると携帯片手に手をにこやかに振っている綱吉先輩に会うことは決まっていたのだと気づいた。
電話をきって綱吉先輩に駆け寄ると「遅くにごめんな」と頭を撫でられる。
そんな優しい手つきにほだされそうになりながらも「私が嫌って言っても会うつもりだったんですね」と拗ねたように言ってみる。我ながら本当に可愛くない反応。
そんな私にも拘わらず綱吉先輩はにこっと笑っただけだった。
「姫が俺に会いたくないって選択肢がなかったし」
「…何ですか、その自信」
「姫に愛されてるなーって。
…俺は会えて嬉しいよ」
姫は?と優しい目で見つめられて自分でも顔が赤くなっていくのがわかる。
私だって…嬉しいに決まってるから。
嬉しいですよ、と小さな声で返すと綱吉先輩はわしゃわしゃっと髪を撫でてきた。
「(あぁもう、かわいいなぁ…)」
「…綱吉先輩」
「ん?」
「お散歩…しませんか?」
少しだけお話ししましょう。
そう言うと綱吉先輩は少し驚いたように目を丸くしたが、次第に嬉しそうな笑顔になっていく。
軽く手を繋がれて歩き出した綱吉先輩に夜のお散歩が決定したことがわかり、私も幸せで小さく笑みをこぼしたのだった。
Seen by moon
(月に見守られて)
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