「気が触れてしまったか…」

「縛りつけておかないと何をするかわからない」

「絶対死なせるな。外にも出すなよ」

「大事なエクソシストなんだ」



ぼろぼろになってベッドにしばりつけられている幼いリナリー。
目は絶望でうつろになり、声を出すことなく静かに涙を流す。



「…え……し…て……、…おうち…かえして……」

「ここがおうちだよ」



ふと聞こえた懐かしい、暖かい声。
そっと頭をなでられ、伝わってくる家族の温もりが染み込んでくるようだった。



「遅くなってごめんね。ただいま。
今日から兄さんもこのおうちに住むよ。
また一緒に暮らせるからね…」



コムイが微笑んでいる。
夢じゃないか、と疑ってしまうほど…優しく。

すると少し高い、綺麗な声が聞こえてきた。



「ごめんなさい…私がもっと早くこうしとくべきだったわ」

「だれ…?」



目の前には兄さんと知らない綺麗な女の人……
その女性はコムイと同じ優しい笑みをリナリーに向けた。



「初めまして、リナリー。私はレティシア。ここのエクソシストよ。
ごめんなさい…ずっと長期任務に行っててこんな目にあってる女の子がいるってこと知らなかったの」

「レティシア…?」

「そう。これからあなたをエクソシストとして戦えるようにちゃんと教えてあげるから」



それが私にできるこの子への償い…

強くなれば死ぬことはない。



「…私、また、しばられるの…?」



そう思うとまた涙が出てきた。

嫌だ……もう、痛いのも、苦しいのも、全部…やだ…っ!

するとレティシアは小さく頭を横に振り、リナリーを抱き締めた。



「そんなことしないわ。
あなたは私の友だちよ。
大切な友だちにそんなことしないわ」

「友だち…」

「さぁ行きましょう。お腹空いたでしょ?
久しぶりにコムイ兄さんと一緒に食事しましょう」



ニコリと笑って、手を差し出される。
綺麗な金髪が揺れて…パチンッとウィンクした顔が、可愛く思えた。

もう……自由、なんだ……

いつの間にか解かれていた縄。
リナリーはゆっくりと体を起こし、再び涙を目に浮かべた。…今度は、うれし涙を。


「うんっ…!」


思いっきりコムイとレティシアに抱きついた。
その顔には久しぶりの笑みが浮かんでいた……


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