カーン カーン カーン

何かを打ち付けるような音でアレンは意識を浮かせた。

ここは…?



「ア…レンくん」


ミランダさん…?


「アレンくん…」



アレンの目に映るのは痛々しいミランダの姿。
蝋燭がまるで杭のように鋭くミランダの手に突き刺さっていた。

ミランダ、と彼女の名前を呼び、ミランダの元へ行こうと体を動かすと体に鋭い痛みが走った。
あまりの痛みに顔をしかめ、痛みを感じる自分の手に視線を向ける。

イノセンスはミランダのように杭で何ヵ所も打ち付けられていた。
隣で杭を打っていたアクマがニタァと嫌な笑みを浮かべる。

そして耳に入る声。



「うん。やっぱ黒が似合うじゃ〜ん」

「ロード様、こんな奴きれいにしてどうされるのですか?」

「お前らみたいな兵器にはわかんねェだろうねェ」


信じられないコトバ。


「エクソシストの人形なんてレアだろぉ」

「人形なんかにさせないわよ。
その子は私の大切な親友なんだから。
ていうかアレンのあの杭、やめて」

「ブー…レティシアのケチィ」

「ケチじゃないわ。ていうか本当にアレンを傷つけないでくれる?」


ふり返る少女――ロード。
そこから見えるドレス姿のリナリーと不機嫌そうなレティシア。


「起きたぁ〜〜?」



リナリーは光のない目で俯いている。どうやら意識がないようだった。
でもレティシアは普通にロードと話していた。



「リナリー!!!レティシア!!!」

「気安く呼ぶなよ。ロード様のお人形と天使様だぞ」

「リナリーって言うんだぁ。かわいい名前ぇ♪」

「可愛い名前なのは認めるけどアレンの杭取ってって言ってるでしょ」



さっきからこれだけ言っても行動に移さない。
そんなにアレンの杭をとるのが嫌なわけ?とレティシアは眉を顰めた。



「お前を庇いながら必死で戦ってたぜェ」



戦いの全容を知っているアクマはケケケとあざ笑う。
でも、そんなアクマの言葉以上にアレンは信じたくない現実に息を飲んでいた。



「…っキミはさっきチケットを買いに来た…!?キミが『ロード』…?」



よく見ればさっきの飴をなめていた少女。
アクマが敬語を使い、命令に従う存在。

どうしてアクマと一緒にいる…?

アクマなのか、と目を凝らしたが、アクマの魂は見えない。
ロードはただただおもしろそうに笑うだけ。



「アクマじゃない…キミは何なんだ?それに…レティシア……あなたは…」

「僕は人間だよぉ。何、その顔?人間がアクマと仲良しじゃいけないぃ?」



ロードがアレンの言葉を遮るように言葉を発した。
純粋な、子どものロードの言葉にただ困惑する。



「アクマは…人間を殺すために伯爵が作った兵器だ…人間を狙ってるんだよ…?」

「兵器は人間が人間を殺すためにあるものでしょ?千年公は僕の兄弟。僕等は選ばれた人間なの」



褐色に染まっていく肌。
額に浮かび上がる十字架―――聖痕。
それは人間とは違う、異形の者。



「何も知らないんだね、エクソシストぉ。
お前らは偽りの神に選ばれた人間なんだよ。
僕達こそ神に選ばれた本当の使徒なのさ。

僕達―――ノアの一族がね」



我輩はアクマ製造者千年伯爵

汚れた「神」を調伏し

アクマと共にこの世界を終焉(デス)に導く者v


お前らは偽りの「神」に選ばれた人間

僕達こそ神に選ばれた本当の使徒なのさ



「ノアの…一族…?」


兵器は人間が人間を殺すためにあるものでしょ?


- 106 -

*前次#


ページ:


back
ALICE+