私がダメな理由

何やっても上手にできないくせにやろうとするトコロ
もうやらないと決めたくせに未練がましく、またやろうとするトコロ

どうせ何もできないならやらなきゃいいのにね

馬鹿よね……




そんな自分が大嫌いだったのに、初めて踏み出した一歩はとても暖かい。

…あら?何かしら…?何かの存在を感じる。

ミランダの後ろには自分の唯一無二の親友が立っていた。

時計……



「イノセンス…?」



ミランダの呟くような声に反応したように発動した。

浮かび上がる無数の時計。
小さい時計はアレンの体から浮かび、吸い込まれていく。


 カチ コチ



「!」


時計の音が鳴り響いた途端、アレンは驚きで体を勢いよく起き上がらせた。

まったく無傷の体。
レティシアも少し驚いているようで、目を見開いていた。



「ア、アレンくん動けるの…?」

「ミランダさん…そっか……やっぱり適合者だったんですね」



ミランダにもらったのは、元気な体だけじゃない。
アレンは再び湧き上がってきた力を込めて、ぐっと拳をにぎった。


イノセンス発動!

アレンが手を伸ばす先はロードが隣に座っていたリナリーの椅子。
まずは仲間を奪い返そう、とリナリーを傷つけないように気を付けながら椅子を左手で掴んだ。

「ろーとタマ!!」とロードへの攻撃かと思っていたレロは危険を知らせるように名前を叫ぶ。
もちろんロードは見切っていたので、よけるように宙返りする。
左手が狙ったのは自分ではなく、リナリーだと分かった時にはもう遅い。

そのまま椅子がミランダのイノセンスの中に引きずり込まれるのを見ながら、ロードはゆっくりレロの上に着地した。



「ろーとタマ!」

「あいつの手…ケガが治ってた」


「リナリー」

「リナ、起きて」


二人で必死に呼びかけるが、リナリーからの反応はない。
意識を失っているわけではないのか、とアレンは脈をみたが、とくり、とくりと脈は伝わってきた。



「生きてる…!」

「外傷はなし。ということはあのカボチャアクマの音波系の攻撃を深く受け、神経が麻痺しているのかしら」

「そうですね」



同意を示せばリナリーの手が強く握られていることに気が付く。

リナリー、何かを握ってる…?


「アレンくん、リナリーちゃんは…?」


おどおどと聞くミランダにレティシアが少し笑う。


「…大丈夫よ」

「この空間(なか)にいれば…」



アレンの言葉と同時に時計…いや、今までの外傷や内傷がリナリーから出て行く。
すると意識が戻ってきたのか、リナリーの目に光が灯った。

状況を飲み込めないリナリーはぱちぱちっと数回瞬きを繰り返し、首を傾げる。


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