ここは黒の教団司令室。
今日も自分の命を削りつつ、科学班のみんなは仕事をしていた。

そんな中、コンコンとドアがノックされ、ひょこりとレティシアが顔をのぞかせた。



「コムイーリナは?」

「リナリーなら自室にいると…」

「兄さんコーヒー、」



コムイの答えとリナリーの声が被った。

あら、とレティシアは振り向き、満面の笑顔を浮かべる。



「リナ!」

「…レティシア?レティシアなの…?」

「そうよ、久しぶりね!こんなに大きくなって!」

「レティシア!」



リナリーは目に涙を浮かべると勢いよくレティシアに抱きついた。
そんなリナリーに優しげな笑みを浮かべてちゃんと受け止め、抱きしめる。



「久しぶりね。あの時は本当に小さかったのに」

「久しぶりっ!帰ってきたなんて…!嬉しいっ!」

「私もリナに会えて嬉しいわ。よく顔を見せて?」



体を少し離すとリナリーの笑顔がいっぱいに広がる。

レティシアはふわっと微笑んで、リナリーの髪を優しく撫でた。



「綺麗になったわね。男がほっとかないんじゃない?」

「それはボクが許さないよ――――!!」


ボクのリナリィィィと叫ぶコムイにレティシアが小さく頷いた。


「あぁ、シスコンの兄がいたわね。リナも大変ね。彼氏ができないんじゃない?」

「リナリーに彼氏なんて…っ彼氏なんてぇぇ!!」



うわぁぁん!と泣くコムイにリナリーは恥ずかしそうに赤面する。
レティシアはこのシスコンーっと呆れた目をむけた。(でもその目は優しさも含んでいた)



「…あ、」

「どうしたの?」

「レティシア、任務が」

「あらあら。帰ってきてすぐに任務か。まぁいいけどね?」



パチンッとコムイにウィンクしてソファーに座る。
リナリーはコーヒーを入れてくるわと言って出て行った。

二人っきりになり、一気に真面目な雰囲気になる。



「いいの?コムイ。私を任務に出して。…もしかしたらまた帰ってこないかもよ?」

「レティシア大元帥なら帰って来られるんでしょう?」



何かを見透かしたようにコムイはレティシアを見つめた。

するとレティシアはその視線を真正面に受けて、くすっと笑みをこぼす。



「さすが室長。…もう放浪の旅は終わり。そろそろ本気で任務に当たらないとね」

「…一体何が」

「それはまだ言えないわ」



きっぱりと言い放ったレティシアにコムイはそれ以上聞くことができなかった。
それはレティシアの方が地位が高いこともあるが、レティシアが言えないと言えば絶対に教えてくれないことをわかっているからだ。

だからただ「そうですか…」と呟くことしかできなかった。
気を遣わせてしまったことで重くなった空気を打ち消すかのようにレティシアは笑って「それで」と切り出した。



「今回の任務はどこ?」

「任務ですが、」


――バンッッ!!!!


「コムイ任務は…、…テメェ」

「あらユウちゃんと一緒?これは運命かしら」


先ほどのいざこざがなかったようにふわりと微笑むとそれが気に入らなかったのか、それとも一緒であることに不満があるのか神田は思いっきり顔をしかめる。
「今回は神田君とペアです」と言うコムイを「ふざけんな。なんでコイツとなんだ」と思いっきり睨みつけた。

そんな神田の態度にレティシアは少し柳眉をひそめ、コムイは困ったように笑った。



「神田くん、任務だから」

「オレ一人で充分だ。こいつは必要ない」

「ユウちゃん、あなた何言ってるの?」



珍しく怒りを抑えたような言い方だった。
レティシアはすっと立ち上がり、神田を真っ正面から見つめた。



「これは任務よ。一々私情を挟まないでくれる?
一流のエクソシストなら誰と組んでも任務を成功させられるわよ。
もしかしてユウちゃんはまだ一流じゃないから成功できる自信がないの?」


こう言われて黙っている神田ではない。


「っ!!ふざけんな!成功させてやるよ!!」

「そう。ならいいわね。コムイ、説明を」



コムイは舌を巻いた。

レティシアはもう神田の性格を把握して操っているのだ。
現に神田をおとなしく座らせ、聞く体勢に入らせている。



「今回はベルギーです。アクマが大量にいるせいでファインダーは近づけなくイノセンスがあるかどうかは不明です」

「ならあると考えて行動するわ。あとは資料を見るから。行きましょう、ユウちゃん」

「ちっ、言われなくても行く」



最悪のペアが任務に向かった――――


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