「…アレンくん。あの子、何?劇場で…見かけた子よね?」

「…!」

「アクマ?」



アクマの魂の見えないリナリーの問い。
それは残酷で、アレンにとっては苦しい問いかけだった。

しかし、答えなければならない。

彼女は――人間だ、と。



「…いえ。人間です」

「…そう」


ただ辛い。
今まで敵ではないと思っていたものが敵だとわかるのは……

それはリナリーも同じで、ただただ、言葉にすることができなかった。



「ALLEN」


空中にアレンの綴りをかき、読み上げる。


「アレン・ウォーカー。『アクマの魂が見える奴』」

「!」

「実は僕、お前のこと千年公から聞いてちょっと知ってるんだぁ。
あんたアクマの魂救うためにエクソシストやってんでしょぉ?

大好きな親に呪われちゃったから」



言葉とは裏腹にロードは柔らかな笑顔を浮かべた。
その笑顔があまりにも純粋で…楽しげな笑みだったから、アレンは小さく息を飲んでいた。


「だから僕、ちょっかい出すならお前って決めてたんだぁ」

「…っ」

「おい、オマエ」

「ハイ」

「自爆しろ」



さも当たり前のように言い放つロードにアクマも、アレンもとまどいと驚きを隠せない。
自爆しろ。それは、人間でいう自殺と同じ行為。

何の脈絡もない命令にアレンもアクマも戸惑うが、ロードは何でもないようにレロに座った。

自分で自爆しないからか。それともしびれを切らしたのか。
ロードは「傘ぁ10秒前カウントォ」と強制的にレロに自爆のカウントをさせた。
そんな気まぐれなロードの命令に冗談だと思ったのか、自爆を言い渡されたアクマは戸惑いの声をあげる。



「ちょっ?ロ…ロード様、そんなぁ…」

「7レロ」

「やっとここまで進化したのに…」

「6レロ、5レロ」



完全に無視するロード。アクマの死のカウントは迫っていく。
どうやら本気なのだと、ようやく気付いたアクマはここで初めて「ロード様?」と焦った声で彼女の名前を呼んだ。

まるでアクマ一匹くらい死んでもいいというように……ロードは笑みを崩すことはない。



「おい!?一体何を…」

「イノセンスに破壊されずに壊されるアクマってさぁ…例えば自爆とか?
そういう場合、アクマの魂ってダークマターごと消滅するって知ってたぁ?」

「…っ!!」

「そしてら救済できないね――!!」

「2レロ」

「やめろ!!」



救済できない、というロードの言葉に急いで走り出すアレン。

今行っても間に合わないだろう。
例え間に合ったとしても、自爆の寸前だ。
爆発に飲み込まれるのは目に見えている。


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