「アレンくんダメ!!間に合わないわ!!」



リナリーにとって、アクマの救済より仲間の命の方が大切だ。
アレンを止めるために声を荒げたが、アレンは聞く耳を持たず、アクマへと突っ込んでいく。

爆発する前に破壊を…!!ただ、その一心で。

そんなアレンをロードは歪んだ笑みで見つめていた。



「1レロ」

「ウギャアアアアア!」


  カ チ

嫌な音だった。
時計が最期の音を奏でた瞬間、大きな爆発がその場で引きおこる。

アレンはその爆発に飲み込まれたかと思われたが、リナリーが爆発に飲まれないように間一髪引き戻す。

それでもアレンの瞳にはリナリーではなく、目の間で自爆したアクマ。
アレンの目には泣きながら、助けを呼びながら消えていく魂が見えた。

悲痛な、地獄に堕ちるよりもつらい……“無”に帰る、瞬間だった。


タ ス ケ テ



「キャハハハハ」


パンッと何かが弾けるような音とともにアクマの魂は消えてしまう。
その場に響くのはロードの笑い声だけ。

助けられなかった魂の痛みがアレンの目に伝わり、血の涙が伝う。



「あ゛あっ…」

「!?アレンくん…」

「くっそ…何で止めた!!!」



痛みで一度は顔を伏せたアレンを心配するようにリナリーはアレンの名を呼ぶ。

しかし、アレンにとってそれはただのお節介のようにしか感じなかった。
助けられなかった悔しさを八つ当たりするようにアレンはリナリーに大声をあげる。


――バシッ!!!!

リナリーの平手が勢いよくアレンの頬を打つ。
突然の平手打ちにアレンは思わずこみ上げていた怒りが引き、驚きで呆然とする。

まさかあの優しいリナリーから叩かれるとは思わなかったから……

よく見るとリナリーの目には涙がたまっていて、いつでも心を強く持っていたリナリーの涙にアレンは目を見開く。



「仲間だからにっ!決まってるでしょ…!!」

「スゴイスゴイ!爆発に飛び込もうとするなんてアンタ予想以上の反応!」

「お前…っ」

「でもいいのかなぁ?あっちの女の方は」



ロードの視線がミランダとレティシアの方へ向けられた。

飛んでいく一体のアクマ。
レティシアが姿勢を低くして、ミランダを守るためアクマを破壊する体制に入る。



「いかせるか!」



いくらレティシアがいるからと言えど、油断するつもりはない。
イノセンスを発動させ、アクマに向かって撃つが風切鎌ではじかれてしまう。

しかし、それでいい。アレンの狙いはアクマの破壊ではない。
アレンに気にとられているうちにリナリーが後ろに回り、最後の一体も破壊した。

それを見て、ロードはつまらなそうに、笑う。



「壊られちゃったか!今回はここまででいいやぁ。まぁ思った以上に楽しかったよ」



ロードの前に突如可愛い扉が現れる。
黒と赤の市松模様はどこか不思議の国のアリスを思わせた。


「じゃねェ」


扉に入ろうとするロードにアレンは自身の銃型イノセンスを突きつけた。
イノセンスで撃とうとも、彼女には効かないだろう。
アレンの左腕で傷つけても、彼女はすぐに再生したのだから。
効かないとわかっていても、アレンはイノセンスを突きつけずにはいられなかった。

しかしロードは動じずただ、笑うだけ。



「優しいなぁアレンはぁ。僕のこと憎いんだね」



ロードにイノセンスを突きつけながらも、涙を流すアレン。
それは、…ロードへの何とも表現できない感情が溢れていた。

憎しみ、悲哀、怒り……そして、虚しさ。

レティシアはただ無表情に二人の行く末を見つめているだけ。


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