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「これは奇っ怪な」
病院の窓から光が差し込み、その光に照らされるように小柄な老人とアレンは向き合っていた。
「潰されていた左眼が再生し始めている」
それはありえないこと。
潰された目は普通は元に戻らない。失明するだけ。
だが、アレンの左目は再び息を吹き返そうとしていた。
「まだ何も見えないだろうがしばらくの事だろう。
この速さならば三・四日も経てば元に戻る。私の針は必要ない」
普通の針より一回り長い針を慣れた手つきで戻した。
「『呪い』――だそうだな」
アレンは少し痛む目をおさえる。
まるで昔の痛みをおさえるように……
「昔アクマにした父から受けた傷です」
「アレン・ウォーカー。『時の破壊者』と預言を受けた子供だね。
我らはブックマンと呼ばれる相の者。理由あってエクソシストとなっている。
あちらの小僧の名はラビ。私の方に名はない。ブックマンと呼んでくれ」
かぎ爪のような手をもつブックマンはアレンと握手する。
レティシアはラビの隣で壁に背を預けて、その出会いを静かに見つめていた。
しかし少し弾みをつけ、背を壁から離すとアレンとブックマンの隣に立つ。
「お久しぶり、ブックマン」
「お久しぶりです、レティシア嬢」
「(ジジイが敬語!?やっぱレティシアって…)」
「お元気そうでなによりだわ」
にっこり笑ってレティシアは対応する。
ラビは何かを見定めるようにレティシアを見つめた。
もちろん、レティシアはその視線をわかっていたが、その笑みを簡単に崩すことはない。
「それにしても今回は大変なことになったわね」
「うむ。まさか現れることが現実になるとは…」
「予想してなかったわけではなかったわ。でもこんなに早く現れるとは思ってなかった」
「レティシア嬢でも予想以上だったか」
「えぇ…」
憂いからか軽く目を伏せたが、すぐに前をみすえる。
何かを覚悟したような…いつも以上の強い光りを目に灯して。
「そろそろかもしれないわ。…モヤシくん、コムイのトコ行きたいんでしょ?」
ぼぉっとしているアレンに急に話をふる。
アレンは目の前で繰り広げられている会話の意味を掴むことができずにいたので、まさか自分に返事を求められるとは思っていなかった。
最初はへ…?っと対応できなかったが、自分への言葉だと気づくとはい!と返事した。
「なら、行きましょう。ブックマン、また後で」
「わかった」
アレンと二人、レティシアが出て行く。
自然とブックマンと二人になったラビはおもむろに口を開いた。
「ジジイ…レティシアは一体何者さ?」
もう何度目か分からない問い。
答えはいつも一緒。
だけど今日はいつもと違った。
「…すぐ、わかる」
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