コンコン


「コムイさん、入りますよ」

「入るわよーって言っても寝てるだろうけど…」


ドアを開けると司令室と同じ状況になっているリナリーの病室。

蹴破ればコムイは起きたかしらとレティシアが呟いたのはきっと耳の錯覚だ、とアレンは言い聞かせた。



「…リナリーが埋まってる…」

「あの状態でよく寝れるわねぇ」


妙に感心したように頷くレティシア。
アレンは感心するところが違う…と苦笑したが、資料をかき分けてやっとコムイの所までたどり着く。

「コムイさん!」と大きめの声で呼びかけ、アレンは肩を揺さぶり起こそうとする。



「(それで起きたらリーバー達は苦労しないわ)」

「コムイさん!起きてください!」



がんばって揺するがやはりコムイは再起不能状態。
アレンは一瞬何か考え込んだが、決心したような顔をする。


「(あら、まさかモヤシくんがいう日がくるなんて…)」

「リナリーが、」

「ちょっと待って、モヤシくん」



おきまり文句を言おうとするアレンを阻止する。
頭にハテナマークを浮かべながらレティシアの方を振り向いた。



「どうしたんですか?」

「実験、してみたくなぁい?」


にやりと笑うレティシアにアレンはとっさに悟った。
――これはスイッチが入ってしまった…と。

短い間だがレティシアのこの笑みと企みにどれだけの被害が……とついつい遠い目になりそうになる。
巻き込まれるのは絶対にいやなので素直にコムイを生け贄にした。



「どうぞ」

「ありがと。じゃ…どれから試そうかなぁ…」



レティシアは楽しそうに言葉選びをしている。
やっと決まったのか再び子どものように笑い、コムイに耳打ちした。



「『コムイ、アクマが来たわよ!』」

「ぐ――」

「反応なし、ね。アクマが来たぞー作戦失敗っと」


でもこれって致命的じゃない?
本当に来たときどうするのかしら。

そうレティシアが考えていることを察したのか、アレンは「レティシアが棒読みするから真実みがないんですよ」と心の中だけで反論した。
しかし、レティシアには伝わらず、さらに楽しそうに言葉を選んでいく。



「じゃ、次。次は……『コムイ、起きないと私の最新薬実験体にするわよ』」


これ本当にいいかもしれないわ。
ちょうど試したい薬があるのよねぇ。


「…っ!!」

「ぐ―――」



つい隣にいるアレンが反応してしまった。

僕じゃない…僕じゃない…と何度も心の中で呟くアレンをもし他の人間が見ていたら「何をされたんだ…」と顔を青くしたことだろう。



「これも失敗〜!恐怖の実験体体験作戦」

「(恐…)」

「はぁ…やっぱりこれでしか起きないのね…つまんなーい…」



不満があるようだが、コムイを起こさなければならないのでしょうがなくおきまり文句を言った。



「『リナのウェディングドレス姿、似合ってる。すっごく可愛いわ』」

「リナリィィィ!!結婚するのかい!?相手は!?そいつ抹殺!ウェディングドレス姿は僕に見せてねぇ!!」

「このシスコンー!リナが一生結婚できないじゃない」

「結婚なんて…ボクは許さないよ――!!」

「まったく…」

「うわぁぁぁん!…、…ってあれ?レティシア…?アレンくんも…」

「嘘だということに気づいてください」



だいたいレティシアが言うんだから90%は嘘でしょ。
短い間だがレティシアのいうことはほとんど嘘だということを把握している。

もちろんレティシアもわかっていて嘘をついているのだが。


(ほとんどは神田をからかうため)


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