「危ねェだろアクマ!!」



投げつけられた鉄の塊をそのままバットのように打ち返す。
野球のように鉄は飛んでいかず、脆い塊は粉々に砕け散っていた。

しかし特急列車が途中で止まれないのと一緒で、ラビの槌も途中では止まれない。
勢いはそのまま振り切ると隣の家まで粉々になっていた。



「あ」

「やっぱり破壊活動はラビットの得意分野ね」

「(建物まで壊したー!!)」

「あは、ダイジョブダイジョブ。コムイが弁償してくれっさ!」

「この前その請求書見てコムイ泣いてたわよ」


『ラビの馬鹿――!こんなに壊してー!!』

あまりの怒りにコーヒーをリーバーに投げ飛ばして怒られてたわね……

あの時の光景が目に浮かぶ。

レティシアの言葉にラビは「げ…」と渋い顔をしたが、結局のところ「ま、大丈夫さ!」と笑って誤魔化した。



「とにかく場所を変え…」

「動くな!!」

「あの子達です!黒服の子供!人を殺したんです!!」

「よけいなお節介とはこのことねぇ」

「ゲッ、お巡りだ…!」



心底嫌そうにレティシアはため息をついた。
アレンも思い出されるはモアだろう。

警官は黒の教団の存在を知らない。知っているのは上の人間だけだ。
だからこそ、一般人と同じように「アクマ」ではなく「人」を殺したと勘違いする。
違う、アクマだ、と説明しても「お伽噺か」と馬鹿にする。厄介だ。



「連行する来い!」

「あ、いや、僕達は…」



モアの時同様アレンは連行されそうになり、違うと弁解しようとする。
しかし、ラビはその警官に槌を突き付けていた。
レティシアも後ろで戦闘態勢に入っている。

そんなラビに警官は「や、やめなさい、何を…!!」と焦りの表情を見せる。
もちろん人間だと思っているアレンもラビの行動に「ラビ!?」と戸惑いの声をあげた。



「やめ…なさい!」

「…!!」



人間だと思っていた警官がコンバートしてアクマの本性を見せる。
警官から撃たれる弾を弾きながら三人は後退していった。



「また新手!コイツらオレらとドンパチしに来たみてェだな」

「……」

「とにかく場所を変えるぞ」

「はいは〜い」



壁を越え、人気のない所まで移動する。
あれだけ周りに人間がいれば、アクマが混ざって見分けがつかないので厄介だ。

雪のお陰で着地も緩やかに行うことができた。



「しっかし反応遅いぞ、アレン。アクマの姿になってから戦闘態勢に入ってたら死ぬぞ?」

「ごめん…ラビはどうしてわかったの?」

「わかんじゃねェよ。全部疑ってんだ。自分に近づく奴は全部ずっと疑ってる。
昨日会った人間が今日はアクマかもしれない。オレらはそういうのと戦争してんだから」

「ホント、面倒くさいというかなんていうかねぇ…」

「お前だってそんなことわかってんだろ、アレン」



ぞろぞろと集まってくる死人のような目をした人達。
それらは全てアクマであり、自分たちを襲うためにきた者たち。

私も戦わなきゃいけないわね…とレティシアがこぼした。


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