「これはまたたくさんいるわねぇ」



現地に着いた瞬間、駆け抜ける殺気。
どうやら町はアクマに飲み込まれてしまったようで、二人が着いた途端にアクマの殺気が二人を貫いていた。

レティシアは目の前にいるアクマ達を見据え、うんざりしたようにため息をついた。



「無駄口叩いてる暇があったら破壊しろ」



それだけ言って神田は早々にアクマの中に突入して破壊していく。
レティシアは喧嘩が早いわね、と肩をすくめてイノセンスを発動させた。



「イノセンス発動 ホワイトハーツ!」



発動するのと同時に体がふわりと光る。
体勢を低くすると一気にアクマの中を駆け抜けた。

それは神田も驚くほどで、アクマは何が起こったのかわからないほどで。
わかったときにはレベル1のアクマはすべて、破壊されていた。

アクマが破壊され、爆発する中でレティシアの髪がふわりと優雅に揺れる。



「…ユウちゃんの出番はおあずけかな?」

「まだいるだろ!」

「はいはい。真面目に破壊しますよ」



小さな笑みを浮かべると体の中の力を手に集中させる。
足にぐっと力をいれてすごいスピードで残ったレベル2のアクマを破壊していく。

触れているように見える。
しかし一瞬触れるのがすごい力がかかるのだ。

次々と破壊されていき、残りは……



「レベル3だけっと」



一体のレベル3のアクマ。
にたぁぁっと嫌な笑みを浮かべているアクマに対してレティシアはふわりと笑いかける。



「レベル3がどうしてここにいるのかしら?」

「もしかしてお前がレティシア・クローツ?」

「あら。私の名前を知っているなんて…不愉快極まりないわ」

「くくっ、伯爵様がお前のことを探しているぞ」

「ずいぶん伯爵もお暇なのねぇ。じゃ、あなたは破壊させてもらうわ」

「オレが破壊する」


急に口を挟んできた神田にレティシアがまたしてもため息をついた。


「ユウちゃん、黙って見ときなさい。ユウちゃんの手におえるようなアクマじゃないから」

「やってみねぇとわかんねぇだろ!」

「わかるわ」


はっきりと、澄んだ声で言い切る。


「わかる。ユウちゃんには勝てない」


あなたには勝てない。

だって肝心なものを持っていないから。


「…っ!」

「さぁ破壊しましょうか」



神田はおとなしく戦いを見守る。

別に従っているわけじゃない。
レティシアがアクマに少しでもダメージを与えてオレがその後破壊すればいいと思ったからだ。

でも実際には違う。
レティシアはいとも簡単にレベル3のアクマにダメージを与え続けている。自分には一切の傷を負わずに。
まるで子供と大人が遊んでいるような圧倒的な力の差だった。



「もう終わりかしら?」

「ぐっ…まだだぁぁぁ!」

「では楽にしてあげましょう」



レティシアの手に先ほどよりも強い光が集まる。
ぐっと力を入れるとレティシアの拳が一気にアクマを貫いていた。



「あっ…」

「Good night.」



その言葉とともにアクマは破壊されていた。
傷一つなく。余裕の笑みも崩れないまま、ふわりとプラチナブロンドがなびく。

しばらくレティシアは破壊された跡を見つめていたが、不意にくるりと神田の方へ振り向き、にこっと笑った。



「帰ろ、ユウちゃん」


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