4
コムイの話しぶりを思い出しながら自分の師匠は捕獲扱いだな、なんて思う。
しかしそれほどのことをしているのだから仕方がない。
落書きされた眼帯を外すともう傷跡のない目がのぞく。
「(まだ見えないけどもうそんなに痛くないしはずしちゃっていいか)」
目の傷に触れるが、痛みはあまり感じなくなっていた。
アレンはトイレから出るとリナリーが壁に寄りかかっているのに気付く。
どうしたんだろう、と気になったので、軽く「何してるんですか」と聞いたのだが……
「別に」
にっこり笑ってアレンの横を通り過ぎていった。
…笑顔だったが、確実に怒っていた。それは鈍いアレンでもわかる。
「(あれ?なんか今…怒りマークが見えたような…)」
しかし、触れてしまうとさらに怒らせてしまいそうで、何も言えず。
アレンはみんながいるところに戻るとブックマンが地図を広げた。
「さて。まずはわかってる情報をまとめよう」
アレンの顔を見てラビは小さい声で話しかけた。
「なんだもう取っちゃったのかよ。面白い顔だったのに」
「あ、ホントだ」
折角渾身の出来だったのに。
「ホントやめてください」
心底いやそうだった。
「しゃべるなそこ。今私達はドイツを東に進んでいる。ティムキャンピーの様子はどうかな?」
「ずっと東の方を見てるわ」
ティムはクロスの位置がわかるが、距離がかなり離れていると漠然とした方向しか示さない。
…つまり、まだまだ遠くにクロスはいるということ。
リナリーは地図を見ながら疑問を口にする。
「一体どこまで行ってるのかなぁ。クロス元帥って経費を教団でおとさないから領収書も残らないのよね」
「へ?じゃあ生活費とかどうしてんの?自腹?金持ち〜♪」
「なわけないでしょ。あのクロスが」
「主に借金です」
アレンの手には×マークの印が持たれていた。
心なしか表情も黒い。
クロスは色んなトコで愛人や知人にツケで生活していた。
当然、一緒にいたアレンは入団するまで領収書きれること知らなかったのだ。
ホントにお金が無い時は僕がギャンブルで稼いでました、というアレンに「お前そんなことしてたんだ」というみんなの憐みの視線が注がれる。
「モヤシくん…苦労したのねぇ…」
「え?何?何?」
当然、アレンはそんな視線の意味もわからずに挙動不審になっていた。
アレンがリナリーと目が合うとリナリーはわざと目をそらす。
アレンは「そらした!!」と内心ショックを受けるが、口には出せずにいた。
「ところでアレン。左眼はまだ開かぬか?」
ブックマンはアレンに早く眼を治して周囲の見張りをしてもらいたいようだった。
他からの連絡によるとアクマ共が我々の足留めにかかってくるらしい。
元帥の元へ着くまでは汽車での移動が長くなる。
民間人を巻き添えにしない為にも迅速な判断ができるその左眼は重要だと考えたらしい。
そんなブックマンに小さく「…はい…」と返事をしたが、心ここにあらず。
アレンの視線はブックマンではなく、視線を逸らしたリナリーに向かっていた。
そんなアレンとリナリーの様子にレティシアは何も言わずただ窓の外を眺めた。
- 135 -
*前次#
ページ:
back
ALICE+