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「汽車…行っちゃった…汽車……」
処変わって、先ほどの駅。
アレンは半べそ状態でずるずる汽車を追いかけようとする。
しかし、村人がガッチリとホールドしていて動けない。
神田なら問答無用で六幻を突きつけ「てめぇふざけんなよ、手を離せ」と般若を従えてどす黒い声で脅すだろう。
だが、相手はアレン。誰にでも紳士な彼はそんな発想は微塵も浮かばず、為す術もなくもがき続けている。
「申し訳ございません修道士さま。だがしかし!こちらも急を要するものでして…」
さっきまでアレンの足を掴んでいたおじさんがいきなり土下座する。
すでに遠くに行ってしまった汽車を思い、アレンは「汽車…」と呟いた。
「どうか私どもの村をお救いください黒の修道士さま!!」
「…へ?修道…?」
何のことだろう。
修道とは、普通宗教を修める人のことだ。
確かにエクソシストはある意味宗教団体だが……
アレンは小さく首を傾げると何かを勘違いして、自己紹介を始めた。
「申し遅れました。私はこの村で村長をやってるグオルクといいます」
どこにそんな力があるのだろう。
グオルク、と名乗った村長は、成人男性であるアレンを小脇に抱えながら話し始める。
やはり流れに身を任せているアレンは大きな抵抗をすることもなく小脇に抱えられたままだ。
自己紹介が終わると村長はやはり小脇に抱えたまま、家のドアをあけ放った。
「みなの者!神に祈りが通じたぞ!黒の修道士さまが来てくださったぁー!!」
「いや、ボクは、別に…」
家の中には村人達が武器を持って大勢集まっていた。
その異様さにアレンは身を引いたが、村人たちは関係ないとばかりにアレンを見つめる。
こんな子供が?と思ったのは一瞬。アレンの服のローズクロスをみると奇声を発して泣きついてきた。
「うおおおお〜!!修道士さまだー!!!」
泣きつきながらも、何故かアレンの体はそのまま椅子に縛り付けられてしまった。
ぐるぐるに、きつく縛られた状態にアレンは「あの、ところで、なんでボク、縛られてるんですか?」と疑問を口にしたが誰もその問いに応えてくれることはなかった。
「吸血鬼!?」
「はい。この村の奥には昔から恐ろしい吸血鬼が住んどるのです!!」
その名もクロウリー男爵。
昼間は決して姿を見せず奴の住む古城からは毎夜人間の悲鳴が止まることがない。
城に入ったら最後。生きては出られぬと伝えられているらしい。
そんなお伽噺のような単語にアレンは、
「そんなまさか今どき吸血鬼なんて…」
いるわけないと言いかけたが、凄い形相で村長に睨まれてしまい……
「ごめんなさい。続けてください」
謝って、最後まで聞くしか選択肢がなかった。
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