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ただ、城に近寄りさえしなければクロウリーは我々に危害を与えなかったらしい。
触らぬ祟りになんとやら。お互いに干渉することなく、クロウリーは城で静かに暮らしていた。
しかしある日の夜突然……クロウリーは豹変してしまう。
最初の犠牲者は独り身の老婆だった。
クロウリーは老婆の身が蒸発するまで生き血を吸い尽くし殺したのだという。
「うそぉ」
「うそでしょ」
ラビは樽の中から、レティシアはその隣で仁王立ちしている。
もちろんさっきまで誰もいなかったはずだ。…いや、正確に言えば誰にも気づかれず気配を消していた、というべきか。
しかし、何にも気づいていなかった人にとっては、そんなところから急にでてくれば誰でも驚く。
ここも例外ではなく、アレンはもちろん部屋にいる人全員死ぬほど驚いていた。
『なっ何奴!?』
「ラビ、レティシア!?どうしてここに?しかもどうしてそんなトコから出てこれんの!?」
「お前を捜しに来たんさぁ。そっちこそ何やってんだ?」
「拉致られた…わけじゃないわよね?その場合私、この人達全員消さないといけなくなるんだけど」
「なんかヤクザっぽいセリフさ…」
「まぁ冗談だから」
『(ホントに…?)』
笑顔で言うが、目は笑っていない。
そんなレティシアに村人たちは内心冷や汗をかいたとか。
突然現れて物騒な発言をする二人に身構えていた村人たちだったが、ある一人が二人の団服にあるローズクロスに気が付く。
村長、とローズクロスを指さしながら彼に話しかけると村長もようやくこの二人も仲間であることに気付く。
そして、村長の中で瞬時に方程式ができた。
二人=黒の修道士様達=生け贄!!!
「黒の修道士さまがもうふたりぃー!!!」
「やった!」
「押さえろ!!」
驚く暇も、抵抗する暇もなくラビもアレンと同じようにロープでぐるぐる巻きにされる。
もちろんレティシアにも魔の手が伸びたが……
「何?私を縛るわけ?」
「すっすいませんでしたぁぁ!!」
一睨み&腕組みして仁王立ちするだけで逃げていった。
レティシアはそんなに怖がることないのに、とつまらなそうに言ったが、「誰でも恐いと思うさぁ…」と心の中だけでラビはつっこんだ。
もちろん口に出した日には……言うまでもないだろう。
「大丈夫?二人とも」
「…ほらな。オレの予感は当たるんさ」
「そうね、私にとってはおもしろいもの」
「…で。何なんですか一体?」
一人冷静なアレンはこの村人たちの事情に耳を傾ける。
村長が言うには、クロウリーが暴れ出す少し前に村にひとりの旅人が訪れたらしい。
旅人は神父と名乗り、クロウリー城への道を聞いてきた。
死ぬかもしれないと必死で止めたが、旅人は笑いながら城へ行ってしまったのだという。
それから三日経ち、やはりクロウリーに殺されてしまったかと思った時……なんと旅人は戻ってきたのだ。
『あ、あんたよく無事で…』
『弁当屋よ。もし古城の主に何か異変があったら私と同じ十字架の服を着た者達に知らせろ。
そやつらが事を解決してくれる。待っていればいつか必ずこの汽車に乗ってくるであろう』
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