『そっか…クロス元帥が残した伝言なら従った方がいいわね』

「リナリーとブックマンはティムと先行っててください」

『わかった』



ラビのゴーレムである黒い蝙蝠から聞こえてくる声はリナリー。
ティムはというとブックマンと一緒に一服中だ。

しかもブックマンが「イケるなおぬし」と認めるほど吸えるらしい。
…ゴーレムは主人(クロス)に似るのだろうか。



『三人とも気をつけてね。その…吸血鬼の人に噛まれると吸血鬼になっちゃうらしいから』


童話で読んだ、とまじめに言うリナリー。
そんなリナリーにコムイ並みの溺愛っぷりとみせるレティシアは「可愛いわね、リナ!」とハートを飛ばしていた。



『ならないでね!!』

「「うん…(吸血鬼の話信じてるんだ、リナリー)」」

『特にレティシア!美人だから心配!絶対気をつけてね!いざというときは二人を盾にしていいから!』

「「(えっ!??)」」

「あら、嬉しい。まぁいざというときは二人を生け贄にするから安心してね」

「「(ええぇえ!?)」」


アレンとラビ、心の中で大絶叫。

レティシアが「生け贄にする」というのだから本気なのだろう。
…冗談かもしれないが、冗談に聞こえないのがレティシアだ。



「今どき吸血鬼なんてなぁ、アレン」


ところでオレらはなんでまだ縛られてんだろ。
レティシアは普通に歩いてんぞ。差別?


「ですよね」


ありえませんよね。
ところで、いつ僕達は解放されるんでしょう。
レティシアみたいに堂々としてればよかったんですかね?


「おふたり共!止まって!!」


村長がロープを引っ張ると当然二人は足を止めるしかない。なぜなら縛られたままだから。
レティシアもブーツ音を鳴らして、足を自主的に止めた。



「クロウリー男爵の城門です」

「「(悪趣味ぃ〜)」」

「わぁお…悪趣味もここまでくるといい趣味に見えるわ」

「見えませんよ…」



城門、というべきか、人の顔をというべきか。
人の口を模した城門は正直人が住むような門ではない。お化け屋敷、というのが妥当だろう。

村長が説明するにはこの門をくぐると先はクロウリー男爵の所有する魔物の庭が広がり、そのさらに先の湖上の頂が彼の住む城らしい。

門の中から聞こえる不気味な鳴き声。
ギャアアアアだのウギャアアアだのヴコギギギギだの……

二番目までは分かるが最後の奇声は一体何の声?とレティシアは密かに思ったらしい。



「「……」」


何か聞こえるね。

ね。



「今の鳴き声?」


レティシアの問いに誰も答えられない。
無言の沈黙が流れたが、村人達は一斉に声を揃えた。


- 141 -

*前次#


ページ:


back
ALICE+