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『さあ前へ!』
「「うっす…」」
「はーい」
面倒くさいことこの上ないけど…クロスが関わってるんだもの。…面白そうじゃない。
そうレティシアは楽しそうに小さく口角を上げる。
大きくて不気味な音を立てて城門が開かれる。
庭にはお世辞にもいい趣味とは言えないものばかりが並べてあった。
「クロウリーって奴はすげェ趣味悪いな…」
「悪すぎて逆に感動するわ」
ふぅっと肩をすくめるレティシアにラビが苦笑する。
しかしレティシアの隣にいるアレンの手が目に入った。
「アレン、お前なんでもう手袋はずしてんの?」
「…!」
「まさか怖いの?」
「まさか」
ははははは…と乾いた笑いを浮かべてもあまり意味をなさない。
アレンはちらりと自分を指摘したラビの右手を見る。
「そういうラビこそ右手がずっと武器をつかえてますけど?」
「オレは怖くなんかないさぁ――。レティシアは……言うまでもないな…」
「二人とも怖いんでしょ。男なら素直に認めた方が潔いわよ」
「「怖くない!」」
「はいはい」
意地っ張りなんだから、と肩をすくめた瞬間、走り抜ける殺気。
その鋭い殺気に三人はすぐに背中をあわせる。
だがレティシアはすぐに殺気の違和感に首を傾げた。
「(殺気…?でもこの殺気は、)」
「どうしました?」
もちろん一般人である村人達は何も感じないので、いきなり戦闘態勢に入った三人を不思議に思う。
のんきに尋ねる村人にラビは「シッ」と静かにするように指示すると、さすがの村人たちも異変を感じたのか妙な緊張感が走った。
「何かいるぞ」
「近づいてくる」
あたりの気配に集中して何が起こってもいいように警戒する。
そして通り過ぎる風、否、人。
通り過ぎていったことに気付いたが、速すぎて目には見えなかった。
尋常じゃない速さ…人ではない速さに三人に大きな緊張が走った。
「ラビット見えた?」
「見えなかったさ」
速すぎて村人達には何かが通ったことさえわかっていない。
辛うじてその何かが発した甘い匂いだけ感じ取ったらしい。
それほど速いのだ。
レティシアはというと、少しぼやけて通り過ぎた者が見えていた。
黒い…ちょっと顔が長細い感じ……と見えたものを思い出していると大きな悲鳴がその場に響き渡った。
「フ、フランツが…フランツが殺られたぁぁ!!」
レティシアでさえ驚きで目を大きくした。
三人の前に現れたのは、人の首筋に歯を立てた男。
人の血を吸っているようで、首筋には大量の血が流れていた。
―――その姿は、まさに本物の吸血鬼。
「出た…アイレスター・クロウリーだ!!!」
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