「黒の修道士さまがクロウリーめを退散させた―――!!今宵勝利は我らにあり――!!」


歓喜の涙を流しながら村長は万歳する。
そんな村長にレティシアは「我らって私達のおかげであって、村人は何もしてないじゃない」と鋭くつっこんだ。

しかし、そんなレティシアの言葉もなんのその。
ちゃっかり無視して「その調子でクロウリーめを退治してくださいまし!黒の修道士さま!!」と叫んでいた。

……拡声器を使って。

明らかにアレンとかなりの距離を置いている村人たちの考えはわかっている。
彼に噛まれたアレンが吸血鬼になるのではと恐れているのだ、と。
察することができるからこそ、余計に空しい。


「気にすんなアレン」


というラビ本人はにんにくを首にかけ、杭を片手に槌をかついでいる。
どう考えてもそれは、吸血鬼退散道具。

もちろんラビにとって冗談なのだが、アレンにとっては嫌がらせでしかない。
そんなラビの悪ふざけにレティシアは呆れたような視線でラビを見ていた。


「何してんのよ、ラビット」

「うっ…その視線が一番痛いさ…」

「さっさと城に行きますよ!」

「あれ何?急にやる気満々?」


首にかけていたニンニクやら杭やらをぽいぽいと投げ捨てる。
アレンはぎゅっとコートのフードを深くかぶりなおした。


「村人がひとり連れて行かれたじゃないですか。
あの状況じゃ死んだかわからないし、もしまだ生きてるなら助けないと」

「クロウリーは獲物を城へ持ち帰ってゆっくり喰うのです!犠牲者の8人もみんなそうでした―!」



村長の言葉にラビはうぇぇ隣で喰べられんのかぁ〜…と青ざめてる。
恐らくあのクロウリーがむしゃむしゃと人を食べる想像をしたのだろう。
レティシアが肩をぽんっと叩きながら喰われなきゃいいのよと慰めにならない慰めを言った。



「村長さん達はここで待っていてください。城へは僕とラビ、レティシアで行ってきます」

「もちろんです!!あんな化物同士の戦いの中にいたら人間の我々は死んじゃいますから――!!」



いってらっしゃーい!と遠くから叫ぶ村長や村人たちにレティシアは失礼な奴らねと眉を顰める。
アレンとラビは「オレらも化物!?」「あれ?なんか虚しい気分…」なんて落ち込んでいたが。


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