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城内に入るとブーツ音がカツンと響く。
人気がない広いエントランスはどこまでも寂しくて、…不気味だ。
「まったくなんでエクソシストが吸血鬼なんかやってるんさー」
「でも何かおかしくないですか?」
アレンの言葉にあら、と片眉を上げて視線を向ける。
少し気づいたかしら?と内心レティシアの期待が高まる。
「この吸血鬼事件と師匠と何の関係があるんだろう……師匠は一体何をしにここへ…?」
レティシアですらまだ気づかない。
…忍び寄る甘い香りに。
「よく考えると僕らに吸血鬼退治させるためにあんな伝言残すなんてちょっと変ですよ」
「何だよ?じゃあオレらは一体…、…ぃ」
「えっラビ!?」
「ラビット?こんなトコで寝てどうするの」
いきなり倒れ、寝てしまっているラビにレティシアが呆れているとアレンの鼻に甘い香りがかすめる。
レティシアも周りに漂う甘い香りに気付いたのか、急速に表情が厳しくなっていく。
「モヤシくん!この香り…!」
まったくっ!クロス、やっかいなところに…っ!と呟きながら、いそいで鼻を塞ぐ。
アレンもこの香りに危険なものを感じたのか、袖で鼻を覆っていると一瞬頭をかすめた花。
「この甘い香りは確か…!?」
原因を考える暇もなく、ピタピタと確実にくっつく糸。
気付いた時には時遅し。
あっという間にその糸に吊るされて、アレンとレティシアの体は宙に浮いていた。
「…わぁお」
目の前には柄のついた巨大な花。
かわいくパカっと花が咲いたが、余計に気持ち悪い。
「…、…花?」
「花…だったらいいわねぇ」
キェェエエエという叫び声が聞こえたかと思うと花から触覚が飛び出してきた。
花が叫ぶ、なんてありえない。触覚が動く、ということも。
そのことに二人してどん引いていると、それが合図のようにどんどん口を開けていく周りの花たち。
そうしていつの間にか…花が一面に広がっていた。
「花畑…といいたいけど、そうじゃなさそうね」
「なんだここ―――!?」
なーんて叫んだ瞬間、花がアレンにかぶりつく。
噛まれるのと同時にアレンは銃型イノセンスを発動させる。
自分に噛みついた、ということは……
「食人花か!」
「まったくっ!厄介ねっ」
レティシアはつりさげられながら辺りを見回す。
食人花が目当てではない。目当ては…クロウリーなのだから。
彼がこの食人花を動かしているものだと思ったが、クロウリーの姿は見えない。
と、いうことは彼の所有物でありながら自分の意志で人間を襲っているということだろうか、とレティシアは首を傾げた。
「(でもなんでこんな城に…っ)」
「とりあえずラビット起こさなきゃ!」
「そうですね!!…ラビ!!」
「ラビット!起きなさい!」
ラビに襲いかかる食人花をアレンが撃って守っていく。
…何故かレティシアにはまったく襲いかからないが。
「起きてくださいラビ!!…くっそ!どんどん巻きついて…っラビ起きて!!」
「…う…」
アレンの努力のかいあってか…周りのうるささか、ラビの意識が戻ってきた。
ホッとするのは、一瞬。
状況を飲み込めないラビは焦点が合わない目で辺りを見回した。
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