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「ユウちゃん、精が出るわねー」
「……」
神田はいつも通り、精神を統一しながらずっと森で鍛錬していた。
ここは誰も来ない。
だから鍛錬場所としては最適だった、のに。
「ユウちゃん?」
なぜかこいつがいる。しかも木の上に座って。
「…なんでお前がここにいんだ」
「だって暇だったんだもの。そういうときはユウちゃんで遊ぼうかなぁって」
聞いたオレがバカだった。
思わず自分のことを馬鹿呼ばわりしてしまった。
それは全部原因はこいつだということに自己嫌悪になりそうだ。
大体自分”で”遊ぶというのは一体どういうことなのか。本人に向かって言う言葉ではない。
しかしレティシアはそんなこと気づいてないとばかりにニコッと笑い、首を傾げた。
「ユウちゃん今鍛錬中?」
「見りゃわかんだろ」
「うん。すぐにわかったよー」
そう返せば神田の額にうっすら血管が浮かび上がる。
あ、怒ってきたとレティシアは楽しげな笑みを浮かべた。
怒れば怒るほど、神田は面白いことこの上ないことをレティシアはこの短い間に学んでいた。
「それで。一人ってつまんなくないかしら?」
ふと見上げるとレティシアがふふっと悪戯に笑っている。
「相手、してあげてもいいわよ?」
「上等だ」
スパンッという音を立ててレティシアが座っていた木が突然切られる。
しかしレティシアはふわりと綺麗に着地すると楽しげな笑みを浮かべて神田の方へくるりと振り向いた。
「今の着地10点!さぁユウちゃんは私に勝てるかしら?」
「余裕だな」
素早くレティシアの前まで距離を詰めて六幻を振り上げる。
しかしレティシアは微動だにしない。それどころかにこっと笑って手をスッと差し出した。
よけねぇのか…?
そう怪訝に思っていたが、その疑問はすぐさま払しょくされることになる。
――レティシアは指一本で六幻を止めていたのだ。
信じられないとばかりに目を見開く神田に対し、レティシアは挑発するような笑みを浮かべた。
「ユウちゃんの実力はこんなもの?」
「なんで…っ!?」
「そうねぇ。力の差かしら?」
「ふざけんなっ!」
六幻を一度ひき、再び斬りかかっていく。
しかしレティシアはあっさりと受け流し、神田の背後をとっていた。
どういう運動神経してんだよ…!?
「ユウちゃんダメだよ。背後をとられちゃ」
「…っ!」
今まで背後をとられることなんてなかった。
特に自分はスピードのある方だと思っていたからレティシアの速さに異常さを感じていた。
ゆるりと受け流し、隙の出来たところで後ろにまわる。
この戦闘センスとスピード。
神田はおもしろいと、自然と笑みを浮かべていた。
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