「(やっぱこいつらもアクマか!)」

「ひぃっ!」



飛び散る血にゴズが女子のような悲鳴をあげた。

レティシアではなく、どうしてゴズかとわかるかというと……



「ちっ!」

「がんばれ〜ユウちゃん」



気の抜けるような応援をして、木の上に座っているからなのだ。
しかもこの程度の戦いで悲鳴を上げるほど可愛い奴じゃないことくらいわかっている。

アクマを破壊すると残りはあと一体。



「た、助けてくださーい」

「動クナ!コイツヲ殺スゾ」

「素晴らしいほど悪役じみたセリフね」


さぁユウちゃんはどう出る?どうやって破壊する?

レティシアは高みの見物とばかりに肘をついて成り行きを見守る。



「…好きにしろ」

「え?」



アクマとゴズ、二人してぽかんと間抜け面になる。

レティシアはははっと声をあげて笑った。



「(ホント期待を裏切らないわね!)」

「好きにしろと言ったんだ」



神田が六幻を構えた瞬間、アクマはゴズを思いっきり突き飛ばした。

よろけたゴズの巨体が目の前に迫る。
まさか自分に向かって巨体を投げるとは思っていなかったのか、神田は面倒くさそうに小さく舌打ちをする。

神田は反射的に六幻をゴズに当たらないように軌道を外した。
そのせいか神田は一瞬動くのが遅れてしまう。

その一瞬が命取り。


「うわあああ!」


悲鳴をあげながらゴズが神田に覆い被さった。
いくら神田でも自分より二回りほど大きい男の重みに耐えられるはずなく、そのまま倒れ込んでしまう。


「あら」


すぐに起きようとするが重くて持ち上がらない。
レティシアはふわりと着地し、神田達の前に座り込む。


「大丈夫――?」

「馬鹿、どけ!」

「すっすいません!」


時すでに遅し。アクマの姿はない。

ゴズを助けるためとはいえ、アクマを一体逃してしまったことに自然と神田は舌打ちしていた。
そんな神田に怒らせてしまったとゴズは「すいません、ほんとすいません」と謝り倒していた。



「ユウちゃん一体逃しちゃったねぇ」

「っ!お前が破壊すりゃよかっただろ!!」

「八つ当たり。
ゴズに当たらないように軌道を変えてしまったから反応が遅かったの。
私はユウちゃんに破壊を頼んだ。
ならユウちゃん一人でやらないと力がつかないでしょう?」

「…ちっ、行くぞ!」

「えっ、はい!」



レティシアが言ったことは正論であり、ただの八つ当たりに違いなかった。
図星を突かれてきまりが悪かったのか、小さく舌打ちして神田は走り出し、その後をゴズは必死で追う。

もちろんレティシアはニコッと笑いながらその後を追った。


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